イエスの死

「･･･それは、ナザレのイエスのことです。神はこの方に聖霊と力を注がれました。･･･」。イエスの紹介が、バプテスマのヨハネから始まる。①バプテスマのヨハネは、水で人々にバプテスマを授けたが、神は、聖霊でイエスにバプテスマを授けた。②「神はこのイエスに聖霊と力によって油を注がれました」（新改訳2017）。メシアという言葉は出て来ないが、これはメシア宣言である。神は、イエスがメシア（油注がれた者）であると宣言された。③これは、イザ61：1 ～2 の成就である。その結果、イエスは数々の奇跡や癒しを行われたのである。
「私たちは、イエスがユダヤ人の地とエルサレムとで行われたすべてのことの証人です。人々はこの方を木にかけて殺しました」。（1）使徒たちは、イエスの公生涯の証人である。さらに、ユダヤ人たちがイエスを十字架に架けて殺したことの証人である。（2）これまでに、ペテロは3 回、イエスを殺したことの責任をユダヤ人たちに問うた（使3：15、4：10、5：30）。（3）ステパノも同じようにユダヤ人たちを糾弾きゅうだんした（使7：52）。

イエスの復活

「しかし、神はこのイエスを三日目によみがえらせ、現れさせてくださいました。･･･」。（1）しかし、神はこのイエスを3 日目に復活させた。（2）イエスは、ご自分を現す対象となる人数を限定された（1 コリ15：6 によれば、約500 人である）。出エジプト記は、不信仰な者は奇跡を見ても神を信じないことを示している。ルカ16：31 は、「もしモーセと預言者との教えに耳を傾けないのなら、たといだれかが死人の中から生き返っても、彼らは聞き入れはしない」と教えている。（3）使徒たちは、復活のイエスと食事をした。復活のイエスは幻まぼろしではなく、肉体を持っておられた。
「イエスは私たちに命じて、このイエスこそ生きている者と死んだ者とのさばき主として、神によって定められた方であることを人々に宣べ伝え、そのあかしをするように、言われたのです。･･･」。（1）イエスは、使徒たちに大宣教命令を与えた。（2）ペテロは、メシア預言を引用しないで、異邦人の聴衆を意識して、イエスを「生きている者と死んだ者とのさばき主」として紹介した。「メシア」ではなく、「さばき主」（審判者）という用語を使用したのである。「さばき主」の裁きを免まぬかれるためには、その名を信じるしか方法がない。私たちは、イエスを信じる信仰によって神の怒りから解放された。