80 歳になったころ

モーセの物語の3 回目である。
「四十年たったとき、御使いが、モーセに、シナイ山の荒野で柴の燃える炎の中に現れました。･･･それをよく見ようとして近寄ったとき、主の御声が聞こえました。『わたしはあなたの父祖たちの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である』･･･」。（1）40 年後、モーセが80 歳になったころ、神は燃える柴の中でモーセに現れた。神は、ご自身を「アブラハム、イサク、ヤコブの神」という契約の御名で呼ばれた。神は、約束の地から遠く離れた地でご自身を啓示された。これは、ステパノの弁明の中で重要なポイントである。神は、一箇所に閉じ込められるようなお方ではない。（2）その声を聞いたモーセは、非常に恐れた。
「あなたの足のくつを脱ぎなさい。あなたの立っている所は聖なる地である。わたしは、確かにエジプトにいるわたしの民の苦難を見、そのうめき声を聞いたので、彼らを救い出すために下って来た。さあ、行きなさい。わたしはあなたをエジプトに遣わそう」。（1）約束の地だけが聖なる地なのでなく、神が臨在される所はすべて聖なる地である。（2）イスラエルの民はモーセを解放者と認めなかったが、神は確かにモーセをイスラエルの解放者、支配者として立てた。それゆえ神は、エジプトに行けと命じた。（3）ヨセフの場合と同じことが起こった。イスラエルの民は、最初モーセを拒否したが、モーセが2 度目に彼らの前に現れた時に、モーセを信じた。拒否された者が高く上げられ、解放者として民に受け入れられたのである。
「また四十年間荒野で、不思議なわざとしるしを行いました」。（1）モーセは、エジプトの地で、紅海で、荒野で、奇跡を行った。モーセが神によって立てられた解放者であることが明らかになった。（2）このモーセが、メシアの到来を預言した。「私のようなひとりの預言者をあなたのために起こされる。…」（申18：15 ～ 19）。
モーセはイエスの型である。律法学者たちには、イエスが「モーセのような預言者」であることは明白であった。イエスは、不思議なわざとしるしを行われた。しかし彼らは、このイエスを殺した。イエスも一度はユダヤ人たちから拒否されたが、終わりの時代になるとメシアとして受け入れられる。ここにユダヤ人たちの希望がある。ユダヤ人たちの救いは、全世界に祝福をもたらすものとなる。ユダヤ人の救いのために祈ろう。