1 大祭司は、「そのとおりか」と尋ねた。
前回見たように、偽証人たちは、ステパノがユダヤ教の4 つの土台(神、モーセ、トーラー、神殿)を冒涜していると攻撃した。先に進む前に、イエスの裁判とステパノの裁判の類似点と相違点を確認しておこう。(1)類似点は、出席しているメンバーがほぼ同じという点である。特に、大祭司カヤパが議長を務めている点がそうである。また、訴因もほぼ同じである。(2)相違点は、イエスの場合は、沈黙されたという点である。これは、イザヤ53:7 の預言の成就である。「彼は痛めつけられた。彼は苦しんだが、口を開かない。ほふり場に引かれて行く羊のように、毛を刈る者の前で黙っている雌羊のように、彼は口を開かない」。それに対して、ステパノは雄弁に語った。徐々に弁明の内容を学ぶが、これは、糾弾されている点についての直接的反論ではない。むしろ彼は、サンヘドリンに対して攻撃を仕掛けている。その結果、彼は殉教の死を遂げることになるのである。
「大祭司は、『そのとおりか』と尋ねた」。(1)大祭司は、ユダヤの律法に基づいて、被告に弁明の機会を与えた。「そのとおりか」というのは、偽証人たちの証言を認めるかと訊ねているのである。彼らは、ステパノが神、モーセ、トーラー、神殿を冒涜していると証言した。(2)ステパノの弁明は、使徒の働きの中で最も長いメッセージである。また、この弁明は、歴史的事実の羅列ではなく、旧約聖書の組織神学である。ペテロやパウロは、旧約聖書を用いて福音を語ったが、ステパノの弁明には、福音そのものは出て来ない。その理由は、ステパノが旧約聖書の内容を論じ、福音の普遍性は旧約聖書に根ざしていることを論証しようとしたからである。ステパノの弁明の6 つのポイント(使7:1 ~ 53)を挙げておく。
①アブラハム:ユダヤ教の土台(7:1 ~ 8)
②ヨセフ:拒否された者が高く上げられ救い主になった(7:9 ~ 16)。
③モーセ:拒否された者が解放者になった(7:17 ~ 40)。
④イスラエルの慢性的罪:偶像礼拝(7:41 ~ 43)
⑤神殿:神の臨在の普遍性(7:44 ~ 50)
⑥イスラエルの民の糾弾:常に聖霊に逆らっている(7:51 ~ 53)。
新しい契約の時代は、モーセの律法に束縛される時代ではなく、キリストの律法に導かれる時代である。私たちは、キリストにあって自由を与えられている。
きょうの祈り
天の父よ。キリストにある自由を感謝します。どうか真理の道へと導いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
年間聖書通読
エレミヤ書48~49、詩篇67~68
ハーベスト・タイムによる無料の聖書講解動画(音声)サイト。
最新のメッセージ
毎朝6時にきょうの【クレイ】が
あなたのLINEに届きます!
» 登録はこちら