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使徒の働き5:34 ~ 39a

34 ところが、すべての人に尊敬されている律法学者で、ガマリエルというパリサイ人が議会の中に立ち、使徒たちをしばらく外に出させるように命じた。

35 それから、議員たちに向かってこう言った。「イスラエルの皆さん。この人々をどうあつかうか、よく気をつけてください。

36 というのは、先ごろチゥダが立ち上がって、自分を何かえらい者のように言い、彼に従った男の数が四百人ほどありましたが、結局、彼は殺され、従った者はみな散らされて、あとかたもなくなりました。

37 その後、人口調査のとき、ガリラヤ人ユダが立ち上がり、民衆をそそのかして反乱を起こしましたが、自分はほろび、従った者たちもみな散らされてしまいました。

38 そこで今、あなたがたに申したいのです。あの人たちから手を引き、放っておきなさい。もし、その計画や行動が人から出たものならば、自滅じめつしてしまうでしょう。

39 しかし、もし神から出たものならば、あなたがたには彼らを滅ぼすことはできないでしょう。

ガマリエルの助言(1)

パリサイ人ガマリエル

「ところが、すべての人に尊敬されている律法学者で、ガマリエルというパリサイ人が議会の中に立ち、使徒たちをしばらく外に出させるように命じた」。ガマリエルは、感情的におろかな決断を下してはならない、頭を冷やして理性的な議論ぎろんをすべきであると考えたのである。
(1)ガマリエルとは、どういう人物か。名前の意味は、「God is also for me」(神は私の味方でもある)。パリサイ派の中で最も有名で尊敬されている律法学者である。通常、律法学者は「グラマテウス」(scribe)であるが、ここでは、「ノモディダスカロス」(a doctor of the Law)が使用されている。ガマリエルは、有名なラビであるヒレルの弟子である。タルソのサウロは、ガマリエルの弟子である(使22:3 参照)。ユダヤ教の歴史の中で、ラバン(私たちの教師)と呼ばれる人物が7 人いるが、ガマリエルは、ラバンというタイトルで呼ばれた最初の人物である。「ラバン・ガマリエルが死んだとき、トーラーの栄光は終わり、清浄せいじょう分離ぶんり消滅しょうめつした」(ミシュナ)と書かれている。
(2)パリサイ人とは、どういう人たちか。ヘブル語で「パラシム」、ギリシャ語で「ファリサイオス」である。「分離した」という意味がある。ユダヤ教の種々のグループの中で、文化的には最も保守的である。特に、ヘレニズム化に抵抗ていこうした。教理的には、イエスと弟子たちは、サドカイ派よりもパリサイ派に近かった。彼らは、死者の復活を信じていた。また、永遠の報奨ほうしょうと永遠のさばき、天使や悪霊あくれいの存在を信じていた。さらに、神の主権と人間の責務をバランス良く理解していた。サドカイ人とは異なり、律法、預言者、諸書しょしょの全体を神の啓示けいじと信じていた。彼らは、律法の遵守じゅんしゅに情熱をかたむけた結果、律法の周りに垣根かきねを立てた(口伝律法)。この時代、民衆にとっては、ユダヤ教と言えばパリサイ的ユダヤ教であった。パリサイ人の中には、イエスを支持する人とイエスに敵対する人がいた。教会が誕生した直後は、パリサイ派は教会に対して中立的な立場を取った。使徒8 章になって、パリサイ人のサウロが教会を迫害するようになる。
ガマリエルはイエスを信じていた訳ではないが、理性的な議論を持ち込むことで、神に用いられることになった。神は、いかなる人でもご自身の計画のために用いることが出来る。きょうも神の御手みてに信頼し、キリストの弟子として大胆に歩もう。

きょうの祈り

天の父なる神さま。あなたの御手に信頼します。どうか、あなたのみこころの中を歩ませてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

エレミヤ書28~29、コリント人への手紙 第二5