心を一つにして

「釈放されたふたりは、仲間のところへ行き、祭司長たちや長老たちが彼らに言ったことを残らず報告した。…」。釈放された二人は、苦難を仲間と共有した。これは、信者の特権であり、知恵である。二人の報告を聞いて、信者は心を一つにして祈った。
「主よ。あなたは天と地と海とその中のすべてのものを造られた方です」。これは、詩篇146：6 を基にした呼びかけである。①「主よ」は、「キュリオス」ではなく「デスポテイス」である。「デスポテイス」は、主人と奴隷の関係を表現する言葉で、「完全な主人」という意味である。②信者の祈りの対象は、天地の創造主である神である。
「なぜ異邦人たちは騒ぎ立ち、もろもろの民はむなしいことを計るのか。地の王たちは立ち上がり、指導者たちは、主とキリストに反抗して、一つに組んだ」。これは、詩篇2：1 ～ 2 を引用した祈りである。①この聖句は、キリストがメシア的王国を設立される時に、何が起こるかを預言したものである。支配者たちは、神の計画を破壊しようとして立ち上がると言うのである。②初期の信者たちは、この預言の内容を当時の状況に適用した（この預言が成就じょうじゅしたということではない）。
「事実、ヘロデとポンテオ・ピラトは、異邦人やイスラエルの民といっしょに、あなたが油をそそがれた、あなたの聖なるしもべイエスに逆らってこの都に集まり、あなたの御手とみこころによって、あらかじめお定めになったことを行いました」。ユダヤ人とローマ人は、手を組んで聖なるしもべイエスに逆らった。①ヘロデはユダヤ人の代表、ポンテオ・ピラトはローマ人の代表である。②ここには、イザヤ53 章の「受難のしもべ」のイメージが含まれている。③神は、受難のしもべを送ることを決めておられた。ユダヤ人とローマ人は悪を行ったが、それは神の計画に沿ったことであった。
信者は、3 つのことを願った。①敵の脅迫に目を留めてください。②大胆にみことばを語らせてください。③イエスの御名によって奇跡を行わせてください。祈りに対する応答は、すぐに与えられた。④その場所が震い動いた。これは、そこに存在した霊的力の物理的表現である（出19：18 参照）。⑤一同は聖霊に満たされ、神のことばを大胆に語り出した。聖霊の満たしが更新され、以前にも増して大胆になったということである。試練が聖霊の満たしの更新につながるという実例がここにある。試練の中で信仰の成長を体験する人は、幸いである。