ペテロとヨハネの大胆さを見

「彼らはペテロとヨハネとの大胆さを見、またふたりが無学な、普通の人であるのを知って驚いたが、」。（1）サンヘドリンの議員たちは、大いに驚いた。ペテロとヨハネが大胆であったからである（ペテロだけでなく、ヨハネも証言していたことが分かる）。形式的宗教は、大胆さや熱心な伝道を嫌きらうものである。（2）ペテロとヨハネは、無学な普通の人であった（しかもガリラヤ訛なまりで話した）。ユダヤ人男子は、シナゴーグで基本的な聖書教育を受けていた。ここでの「無学」とは、ラビ教育を受けていないという意味である。ちなみに、新約聖書では、聖職者と平信徒の区別はない。これは、カトリック教会が導入した伝統である。ヤン・フス（ボヘミヤで活躍）（1369 ～ 1415）は、万人祭司を主張したために処刑された。
「ふたりがイエスとともにいたのだ、ということがわかって来た」。（1）二人の振ふる舞まいや語り口調を見ながら、彼らはイエスのことを思い出したのである。（2）イエスもまた無学な者と呼ばれたことがあった。「この人は正規せいきに学んだことがないのに、どうして学問があるのか」（ヨハ7：15）。
「そればかりでなく、いやされた人がふたりといっしょに立っているのを見ては、返すことばもなかった」。癒いやされた人がそばに立っていた。彼の存在は、ペテロとヨハネの証言を裏付うらづける動かぬ証拠しょうこである。つまり、この奇跡は、イエス・キリストの御名によるものだと言うのである。
「彼らはふたりに議会から退場するように命じ、そして互いに協議した」。（1）議員たちは、内密の協議を行うためにペテロとヨハネを議会から退場させた。二人は癒しという善行を行ったので、有罪にする理由がないのである。（2）驚くべきことに、彼らは証拠を基に二人の主張の正当性を論じることはしていない。これは、結論ありきの協議である。
サンヘドリンの議員たちが理解しなかったことが一つある。二人は、聖霊に満たされて語っているのである。「聖霊の満たし」は、神のことばを語るための力である。以下の聖句を参考にしよう。①「すると、みなが聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした」（使2：4）。②「そのとき、ペテロは聖霊に満たされて、彼らに言った。…」（使4：8）。③「彼らがこう祈ると、その集まっていた場所が震ふるい動き、一同は聖霊に満たされ、神のことばを大胆に語りだした」（使4：31）。