復活による証明（23 ～ 31 節）

「しかし神は、この方を死の苦しみから解き放って、よみがえらせました。この方が死につながれていることなど、ありえないからです」。（1）イエスは、死者の中から復活された。神が証しされたキリストが、死につながれていることなど、あり得ないのだ。（2）ここでペテロは、詩篇16：8 ～ 11 を引用する（これは、預言がそのまま成就したという引用法である。すでに学んだ4 つの引用法の第1番目のものである）。ダビデはこの詩篇を第一人称（私）で書いている。「･･･あなたは私のたましいをハデスに捨てて置かず、あなたの聖者が朽ち果てるのをお許しにならないからである。･･･」。この部分は、ダビデ自身のことを預言したものではない。ダビデは、いわばメシアの代理人として第一人称で語っているのである。
「兄弟たち。父祖ダビデについては、私はあなたがたに、確信をもって言うことができます。彼は死んで葬られ、その墓は今日まで私たちのところにあります」。（1）ダビデは、死んで葬られた（1 列2：10）。（2）「その墓は今日まで私たちのところにあります」。その墓がどこにあったかは、現時点では特定されていない。現在「ダビデの墓」として知られている場所は、元の墓から2 キロ前後離れている。ダビデは墓に葬られているので、「私」というのがダビデ自身でないことは明らかである。
「彼は預言者でしたから、神が彼の子孫のひとりを彼の王位に着かせると誓って言われたことを知っていたのです。それで後のことを予見して、キリストの復活について、『彼はハデスに捨てて置かれず、その肉体は朽ち果てない』と語ったのです」。（1）ダビデは預言者として、預言したのである。彼は、ダビデ契約の内容を理解し、その成就を信じていた。ダビデ契約の内容は、2 サムエル7：12 ～ 13 に出て来る。①ダビデの子孫の一人が、永遠の王座に着く。②そのためには、その者は朽ちる体ではなく、復活の体を持つ必要がある。（2）ダビデは、ダビデ契約に基づいて、「彼はハデスに捨てて置かれず、その肉体は朽ち果てない」と預言したのである。
「神はこのイエスをよみがえらせました。私たちはみな、そのことの証人です」。使徒たちは全員、イエスの復活の目撃者である（使1：22 参照）。イエスの復活を証言するために、彼らは命を賭かけた。私たちは、使徒たちの証言によって、イエスが復活されたことを信じるのである。