14そこで、ペテロは十一人とともに立って、声を張り上げ、人々にはっきりとこう言った。「ユダヤの人々、ならびにエルサレムに住むすべての人々。あなたがたに知っていただきたいことがあります。どうか、私のことばに耳を貸してください。
15今は朝の九時ですから、あなたがたの思っているようにこの人たちは酔っているのではありません。
16これは、預言者ヨエルによって語られた事です。
17『神は言われる。終わりの日に、わたしの霊をすべての人に注ぐ。すると、あなたがたの息子や娘は預言し、青年は幻を見、老人は夢を見る。
18その日、わたしのしもべにも、はしためにも、わたしの霊を注ぐ。すると、彼らは預言する。
19また、わたしは、上は天に不思議なわざを示し、下は地にしるしを示す。それは、血と火と立ち上る煙である。
20主の大いなる輝かしい日が来る前に、太陽はやみとなり、月は血に変わる。
21しかし、主の名を呼ぶ者は、みな救われる。』
「これは、預言者ヨエルによって語られた事です」。(1)「これ」とは、12使徒が異言を話していることを指す。ペテロは、この出来事をヨエルの預言の成就という視点から解説する。引用箇所は、ヨエル2:28~32である(ヘブル語聖書では、ヨエ3:1~5)。(2)ペテロは、適用のために若干の変更を加えながらその箇所を引用している。①「その後」(ヨエル書)という言葉が、「終わりの日」に変更されている。②ペテロは、終末論的ニュアンスを聴衆に伝えようとしているのである。③ユダヤ教のラビたちは、メシア時代のことを「終わりの時」と表現していた。
ペテロが引用した預言は、3つの部分に分けられる。(1)聖霊の傾注(17~18節)。聖霊が、「すべての人」に注がれる。その結果、身分や地位に関係なしに、老若男女が超自然的な賜物を発揮する。(2)天変地異(19~20節)。聖霊の傾注に続いて、天変地異が起こる。太陽はやみとなり、月は血に変わる。これは、大患難時代における出来事の描写である。メシアの再臨とメシア的王国設立の前に、このような出来事が起こる。(3)救いの約束(31節)。「しかし、主の名を呼ぶ者は、みな救われる」。「主」と訳された言葉は、ギリシア語で「キュリオス」、ヘブル語で「ヤハウェ」である。つまり、「ヤハウェ」=「キュリオス」である。このことから、イエス・キリストは旧約聖書のヤハウェであることが明らかになる。イエスをヤハウェと信じて信頼する者は、みな救われる。これが、ペテロのメッセージの中心である。
ここで、ペテロによるヨエル書の引用法に問題はないかという疑問が湧いて来る。新約聖書における旧約聖書の引用法は、4つある。①預言のそのままの成就。マタイ1:22~23(イザ7:14の引用)やマタイ2:5~6(ミカ5:2の引用)がそれである。②歴史的事件を取り上げ、それを「型(タイプ)」として説明する。マタイ2:15b(ホセ11:1の引用)がそれである。③実際の歴史的事件を取り上げ、それを今の状況に適用する(類似点が1つあればOK)。マタイ2:17~18(エレ31:15の引用)がそれである。④メシア預言の要約。マタイ2:23bがそれである。ペテロの引用法は、上記③に分類される。「聖霊の傾注」というのが唯一の類似点である。
ペテロのメッセージには、2つの特徴がある。①聖霊の力によって語っている。②ゴールは、「しかし、主の名を呼ぶ者は、みな救われる」ということである。
きょうの祈り
天の父なる神さま。私にも聖霊が注がれていることを感謝します。きょうも、聖霊の導きに従って歩みます。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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