16 ダビデがこのようにサウルに語り終えたとき、サウルは、「これはあなたの声なのか。わが子ダビデよ」と言った。サウルは声をあげて泣いた。
17 そしてダビデに言った。「あなたは私より正しい。あなたは私に良くしてくれたのに、私はあなたに悪いしうちをした。
18 あなたが私に良いことをしていたことを、きょう、あなたは知らせてくれた。【主】が私をあなたの手に渡されたのに、私を殺さなかったからだ。
19 人が自分の敵を見つけたとき、無事にその敵を去らせるであろうか。あなたがきょう、私にしてくれた事の報いとして、【主】があなたに幸いを与えられるように。
20 あなたが必ず王になり、あなたの手によってイスラエル王国が確立することを、私は今、確かに知った。
21 さあ、【主】にかけて私に誓ってくれ。私のあとの私の子孫を断たず、私の名を私の父の家から根絶やしにしないことを。」
22 ダビデはこれをサウルに誓った。サウルは自分の家へ帰り、ダビデとその部下は要害へ上って行った。
ダビデの弁明を聞いて、サウルは感動のあまり声を上げて泣きました。(1)サウルは、ダビデが正しいことと、そのダビデに自分は悪い仕打ちをしてきたことを認めました。(2)さらにサウルは、ダビデが自分を殺さなかったのは、ダビデに悪意がない証拠であることも認めました。(3)そして、善を行なったことの報いとして、主がダビデに幸いを与えられるようにと祈っています。
次に、驚くべき言葉がサウルの口から出てきます。(1)彼はついに、サムエルが預言していた次期イスラエルの王はダビデであることを認めました。(2)さらにサウルは、ダビデが王になったときには、自分の子孫を滅ぼすことのないようにと懇願しています。中東では、王朝が交代した場合は、先の王朝の家系に属する者たちを抹殺することが一般的でした。それを知っていたので、サウルは自分の子孫が滅びないようにダビデに誓わせたのです。(3)ダビデはそれを受け入れました。ダビデにとっては、それはすでにヨナタンと結んだ契約の内容そのものでした(Ⅰサムエル記20:14~15)。ヨナタンは早くから、ダビデが次期イスラエルの王になることを知っていました。サウルはこの時点に来て、ようやくそれを悟ったのです。(4)サウルが正気に戻り、罪の告白をするほどに心が柔らかになったのは一時的なことでした。それを知っていたダビデは、サウルと行動をともにすることなく、要害へ上って行きました。「要害」とは、エン・ゲディの荒野にある要害であるとする説と、マサダの要害であるとする説とがありますが、確実なことはわかりません。
サウルの告白は、いわゆる「罪の悔い改め」とは異なります。自らの罪を認めて涙しても、真の悔い改めに至らない場合が多くあります。この箇所でのサウルが、その好例です。憎しみの心は一時的に眠りについたような状態になりますが、再び目覚めたときには、前よりもさらに激しく燃え上がります。パウロが、「割礼を受けているか受けていないか(外側の形式)は、大事なことではありません。大事なのは新しい創造です」(ガラテヤ6:15)と語っているとおりです。
きょうの祈り
天の父なる神さま。キリストにある者は、すべて新しく造られた者です。私もその中に加えられていることを感謝します。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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サムエル記第二1~2、詩篇37~38
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