サウルとダビデの対比

主に背を向けたサウルと、油注ぎを受けたダビデとの差は、劇的なものでした。ダビデには主の霊が注がれましたが、同じ霊がサウルからは離れ去りました。（1）主からの悪い霊がサウルを襲いました。悪霊でさえも、主の許しがなければ何もできません。（2）悪霊の攻撃を受けたサウルに、次のような症状が現われました。抑圧、不安、うつ状態、自殺願望、被害妄想の幻聴。（3）家来たちが琴の名手を呼ぶことを提案すると、サウルはそれを了承します。サウルにも自覚症状があったのです。これは、今で言う「音楽療法」です。琴の音が悪霊に対して効果を発揮するというのではありません。音楽によってサウルのたましいに平安が来るということです。（4）家来の中に、たまたまダビデのことを知っている者がいて、サウルにダビデを推薦しました。
この出来事の背後には、神の見えざる手が働いています。これを摂理と言います。ダビデは自ら王になるために這い上がろうとしたのではありません。神の見えざる手が働いて、彼をサウルに引き合わせ、彼が王宮に住むように導いたのです。私たちの人生もこれと同じです。急がず、倦うまず、主の御手に運ばれて人生を歩む人は幸いです。

サウルの道具持ち

ダビデを知っていた若者は、ダビデのことを、（1）琴の名手、（2）勇士、（3）戦士、（4）ことばに分別のある人、（5）体格の良い人として紹介しています。ダビデはまだ戦いに出たことはなかったのですが、ライオンや熊などの野獣と戦い勝利していたので戦士と呼ばれたのでしょう。
王宮に呼ばれたダビデは、サウルの大いに気に入るところとなり、道具持ちとして召抱えられます。道具持ちとは、文字どおり王の武具を運ぶ者ですが、それはまた近衛兵このえへいでもありました。兵士にとっては非常に名誉な役職です。ダビデが次期王として油注ぎを受けていることは、サウルはまだ知りません。ダビデは「音楽療法士」として宮廷に住むようになりますが、それはまた、王になるための訓練でもありました。なぜ主がサウルに悪霊を送ったかが、ここで明らかになります。私たちの人生においても不思議をなさる主をほめたたえようではありませんか。