異邦人の責務

パウロの短期計画を3回に分けて学んでいます。きょうは、この箇所の2回目の学びです。パウロは、困窮状態にあるエルサレムの聖徒たちを援助するために、異邦人教会からの献金を持ってエルサレムに行こうとしています。マケドニヤとアカヤの聖徒たちは、すでに献金を捧げました。「彼らは確かに喜んでそれをしたのですが、同時にまた、その人々に対してはその義務があるのです。異邦人は霊的なことでは、その人々からもらいものをしたのですから、物質的な物をもって彼らに奉仕すべきです」（27節）
（1）ここでは、異邦人信者がユダヤ人信者を援助することが、神学的真理へと引き上げられています。異邦人信者がユダヤ人信者のために献金するのは、自発的な愛の行為であると同時に、霊的義務でもあります。（2）パウロは、「同時にまた、その人々に対してはその義務があるのです」と書いています。別の訳を見ると、「しかし同時に、彼らはかの人々に負債がある」（口語訳）、「実はそうする義務もあるのです」（新共同訳）などとなっています。直訳すると、「彼らは、その人々には負債者（オフェイレテイス）である」となります。異邦人信者は、ユダヤ人信者に対しては負債者（オフェイレテイス）ですから、返済の義務があるというのです。

物質的な物をもって

さらに、「異邦人は霊的なことでは、その人々からもらいものをしたのですから、物質的な物をもって彼らに奉仕すべきです」とあります。新共同訳は、「異邦人はその人たちの霊的なものにあずかったのですから、肉のもので彼らを助ける義務があります」と訳しています。異邦人が今受けている霊的祝福は、もともとはユダヤ人たちが受けるものでした。それゆえ、異邦人は「負債」を負っていると言えるのです。負債を返すとは、肉のもの（物質的なもの）でユダヤ人を援助することです。現代的な意味では、このような異邦人からの献金が、ユダヤ人伝道の財源となります。最近は、ユダヤ人伝道のために献金をする異邦人クリスチャンが増えていますが、それは聖書的で歓迎すべきことです。キリスト教会は歴史的に、イエス・キリストの御名によってユダヤ人たちを迫害してきました。これは大きな過ちであり罪です。ユダヤ人に物質的な援助を与えることこそ、神への奉仕となるということを覚えましょう。