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ローマ人への手紙11:11 〜 12

11 では、たずねましょう。彼らがつまずいたのは倒れるためなのでしょうか。絶対にそんなことはありません。かえって、彼らの違反によって、救いが異邦人に及んだのです。それは、イスラエルにねたみを起こさせるためです。

12 もし彼らの違反が世界の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となるのなら、彼らの完成は、それ以上の、どんなにかすばらしいものを、もたらすことでしょう。

異邦人の救いの目的(1)

文脈

9〜11章の文脈を確認しておきます。ここまででパウロは、以下の3点を論じてきました。① 拒否の現実:イスラエル人の一部しか救われていないのは、神の計画である。② 拒否の理由:イスラエルの拒否の理由は、彼らのかたくなさにある。そして、イスラエルの頑なさは、神の義についての無知から来ている。③ 拒否の解決:すべてが神の計画どおりに進んでいる。レムナントの存在は、イスラエル全体がメシアを拒否したのではないことを示している。
きょうの箇所でパウロは、イスラエルの拒否が一時的であることを示し、やがてイスラエルは民族的救いを経験するという結論にもっていきます。終末論は、イスラエルの救いを土台にして考えなければ、開かれてきません。

11

ふたつの訳を比較してみましょう。「では、尋ねましょう。彼らがつまずいたのは倒れるためなのでしょうか」(新改訳)。「では、尋ねよう。ユダヤ人がつまずいたとは、倒れてしまったということなのか」(新共同訳)。① 新改訳は、「目的」という意味で訳しています。② 新共同訳は、「結果」という意味で訳しています。後者のほうがよいと思います。(1)「彼ら」とは、大半のユダヤ人のことです。つまり、レムナントではない、不信仰なユダヤ人です(9:3033参照)。(2)「つまずいた」とは、メシアを拒否したということです。(3)「倒れる」とは、決定的な失敗のことです。ギリシア語で「ピプトウ」ですが、これは、再び立ち上がることのできない、修復不可能な倒れ方のことを指します。
「絶対にそんなことはありません。かえって、彼らの違反によって、救いが異邦人に及んだのです。それは、イスラエルにねたみを起こさせるためです」。(1)パウロは、「絶対にそんなことはありません」と言います。イスラエルを見捨てることは、神の忠実な性質から考えて、あり得ないことなのです。(2)ここでパウロは、神の人類救済計画のステップを説明しています。① イスラエルの大半がメシアを拒否する。② その結果、救いが異邦人に行く。③ イスラエルがねたみを起こし、やがて民族的救いを経験する。「それは、イスラエルにねたみを起こさせるためです」という内容は、すでに1019に出ていました。
異邦人信者の役割は、ユダヤ人にねたみを起こさせ、彼らをイエス・キリストのもとに導くことです。人類救済計画のステップのうるわしさを思い、御名をたたえましょう。

きょうの祈り

イエス・キリストの父なる神さま。あなたがお立てくださった人類救済計画は、なんと不思議で知恵に満ちたものでしょうか。そのことのゆえに、御名をたたえます。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

レビ記8 ~ 9、箴言8