過越の祭りの語源

過越の祭りについての3 回目の学びである。「その夜、わたしはエジプトの地を巡り、人をはじめ、家畜に至るまで、エジプトの地のすべての初子を打ち、また、エジプトのすべての神々にさばきを下そう。わたしは【主】である」。（1）イスラエル人たちが過越の食事をしている時刻に、【主】はエジプトの地を巡り、裁きを行われる。（2）裁きの内容は、「エジプトの地のすべての初子を打つ」というものである。人の初子も家畜の初子も含まれる。（3）さらに【主】は、エジプト人のすべての神々に裁きを下される。
しかし【主】は、イスラエル人の家々を通り越すと言われる。「あなたがたのいる家々の血は、あなたがたのためにしるしとなる。わたしはその血を見て、あなたがたの所を通り越そう。わたしがエジプトの地を打つとき、あなたがたには滅びのわざわいは起こらない」。この聖句から、「過越の祭り」という言葉が生まれた。

血の効用

（1）第1 番目〜第3 番目の裁きは、エジプト人にもイスラエル人にも等しく下った。（2）第4 番目〜第9 番目の裁きは、エジプト人にだけ下り、イスラエル人は守られた。（3）第10 番目の裁きは、両者に等しく下る可能性があったが、イスラエル人は、神の命令に従って血を塗ることにより、その裁きを免れた。（4）イスラエル人は、これを記念すべき日として祝うようになる。「この日は、あなたがたにとって記念すべき日となる。あなたがたはこれを【主】への祭りとして祝い、代々守るべき永遠のおきてとしてこれを祝わなければならない」。今でもユダヤ人たちは、この命令を実行している。
過越の祭りは、政治的独立ではなく、死からの解放を祝うものである。エジプトの地のすべての初子が死んだ。イスラエル人の初子も死ぬ可能性があったが、そうならなかったのは、過越の子羊の命が、イスラエル人の初子の命の身代わりとなったからである。ここには、命の交換という概念がある。過越の子羊はメシアの型である。新約聖書は、それを明確に教えている。「その翌日、ヨハネは自分のほうにイエスが来られるのを見て言った。『見よ、世の罪を取り除く神の小羊』」（ヨハ1：29。マタ20：28 とマコ10：45 も参照）。御子イエスは私たちの命の身代わりとして死に、罪の代価を払ってくださった。この方以外に救いの道はない。愛する家族や友人たちに、福音を伝えようではないか。イエス・キリストを信じる信仰だけが、救いに至る唯一の道である。