11 さて、イエスは総督の前に立たれた。すると、総督はイエスに「あなたは、ユダヤ人の王ですか」と尋ねた。イエスは彼に「そのとおりです」と言われた。
12 しかし、祭司長、長老たちから訴えがなされたときは、何もお答えにならなかった。
13 そのとき、ピラトはイエスに言った。「あんなにいろいろとあなたに不利な証言をしているのに、聞こえないのですか。」
14 それでも、イエスは、どんな訴えに対しても一言もお答えにならなかった。それには総督も非常に驚いた。
この箇所からローマ人による政治的裁判が始まる。(1)当時、ユダヤ人たちは、ローマ帝国によって死刑執行の権利を剥奪されていた(紀元30 年)。つまり、イエスが十字架にかかるわずか数カ月前に、ユダヤ人たちは死刑執行の権利を失っていたことになる。(2)イエスを裁くのはローマから派遣されていたユダヤ総督のポンテオ・ピラトである(紀元26 ~36 年まで、ユダヤ総督を務めた)。総督はカイザリヤに常駐していたが、祭りの期間だけは、治安維持のためにエルサレムに上るのが習慣となっていた。(3)ピラトは、非常に残忍な支配者であったが、同時に、ローマ法の忠実な執行者でもあった。(4)彼は、朝早くイエスの裁判が行われることを予測していた(前夜、イエス逮捕のために、ローマ兵派遣の許可を与えていた)。ローマの裁判は、証人の訴えをもって始まり、すべて公開で行われた。その訴訟を指揮したのがピラトである。
並行記事(ヨハ18:28 ~38)を参考にしながら、裁判の流れを確認する。(1)祭司長たちは、過越の食事が食べられなくなることのないように、官邸の中には入らなかった(この食事は、神殿でほふられた子羊を食べる祭司たちのための過越の食事である)。(2)そこでピラトが外に出て来て、ユダヤ人たちの訴えを聞こうとした。しかし、証人がいなかった(ユダは自殺していた)ので、裁判そのものが成立しなかった。ピラトは、これは政治的な案件ではないと判断し、自分たちの律法で裁くようにとユダヤ人たちに提案した。(3)しかしユダヤ人たちは、自分たちには死刑を執行することが許されていないと説明し、なおも食い下がった。(4)ピラトは再度イエスを尋問したが、イエスはどんな訴えに対しても一言もお答えにならなかった。
イエスはローマの法律によって裁かれ、十字架刑で死ぬ必要があった。もしユダヤ人たちがイエスを処刑していたなら、イエスは石打ちの刑で死んでいたことになる。その場合は、罪の贖いが完成したことにはならない。そればかりか、十字架刑で死ぬことを預言していたイエスは、偽預言者だということになる。すでに見たように、ローマがユダヤ人たちから死刑を執行する権利を取り上げたのは、紀元30 年、つまり、イエスの裁判の直前であった。神のご計画は、なんと素晴らしいことであろうか。イエスの十字架の死は、私たちの罪を贖うためのものである。感謝して、神の赦しを受け入れようではないか。
きょうの祈り
天の父なる神さま。あなたの配剤は、完璧です。主イエスが私の罪のために死なれたことを信じ、受け入れます。罪赦されたことを感謝します。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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