20 それから、イエスは、数々の力あるわざの行われた町々が悔い改めなかったので、責め始められた。
21 「 ああコラジン。ああベツサイダ。おまえたちのうちで行われた力あるわざが、もしもツロとシドンで行われたのだったら、彼らはとうの昔に荒布をまとい、灰をかぶって悔い改めていたことだろう。
22 しかし、そのツロとシドンのほうが、おまえたちに言うが、さばきの日には、まだおまえたちよりは罰が軽いのだ。
23 カペナウム。どうしておまえが天に上げられることがありえよう。ハデスに落とされるのだ。おまえの中でなされた力あるわざが、もしもソドムでなされたのだったら、ソドムはきょうまで残っていたことだろう。
24 しかし、そのソドムの地のほうが、おまえたちに言うが、さばきの日には、まだおまえよりは罰が軽いのだ。」
コラジン、ベツサイダ、カペナウムは、ガリラヤ湖畔に位置する代表的な町々で、ガリラヤ地方におけるイエスの活動の中心地であった。イエスは、ご自身のメシア性を証明するために、それらの町々で多くの奇跡を行われた。
(1)コラジンでのイエスの活動について、福音書は何も記録を残していない。そのため、その町で何が行われたかを知ることは不可能であるが、そこでもイエスが大いなる奇跡を行われたことは明らかである。
(2)ベツサイダは、ペテロとアンデレ、そしてピリポの故郷である(ヨハ1:44、12:21)。イエスはここで、5,000 人の給食の奇跡を行われた(ルカ9:10 以下)。イエスは、コラジンとベツサイダを責めたが、その理由は、イエスの奇跡を多数目撃しながら、イエスをメシアとして受け入れなかったからである。イエスは、これらの町々と異邦人の町々(ツロとシドン)を比較し、後者の罪の方が軽いと言われた。ちなみに、ツロとシドンはフェニキヤ(レバノン)の植民都市で、かつては天然の良港として繁栄した。特にツロは、「海の砦の町」と呼ばれ、タルシシュ(スペインの南端)にまで商業船を通わせるほどの実力を誇っていた。ツロは、アッシリヤがバビロンを包囲した年(紀元前710 年)に、アッシリヤによって滅ぼされた(イザヤの預言どおりである)。滅びの原因は、傲慢にあった。
(3)カペナウムでは、「数々の力あるわざ」が行われ、その多くが福音書に記録されている。これらの奇跡は、イエスが約束のメシアであることを示す「しるし」であった。しかし民は、その「しるし」を見ても、イエスを受け入れることも、悔い改めることもしなかった。そこでイエスは、三つの町々を責め、ツロとシドン、そしてソドムでさえも、このような奇跡を見たなら、とうの昔に悔い改めていたに違いないと言われた。創世記18 章と19 章によれば、ソドムはその不道徳、特に性的な倒錯と不品行のゆえに、ゴモラとともに硫黄の火で滅ぼされた。ロトとその家族だけがかろうじて滅びを免れたが、後ろを振り返ったロトの妻は塩の柱になってしまった。裁きの日に、より重い罰を受けるのは、ガリラヤの町々である。多くの恵みを受けた者には、より多くの責任が伴うからである。
不信仰、傲慢、不品行などは、国をも個人をも滅ぼしてしまう大罪である。私たちは、神の恵みを体験した者たちである。さらに謙遜になって、神の恵みをむだにしないように、励もうではないか。
きょうの祈り
イエス・キリストの父なる神さま。どうか私を傲慢と不信仰の罪から守ってください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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