12 バプテスマのヨハネの日以来今日まで、天の御国は激しく攻められています。そして、激しく攻める者たちがそれを奪い取っています。
13 ヨハネに至るまで、すべての預言者たちと律法とが預言をしたのです。
14 あなたがたが進んで受け入れるなら、実はこの人こそ、きたるべきエリヤなのです。
15 耳のある者は聞きなさい。
16 この時代は何にたとえたらよいでしょう。市場にすわっている子どもたちのようです。彼らは、ほかの子どもたちに呼びかけて、
17 こう言うのです。『笛を吹いてやっても、君たちは踊らなかった。弔いの歌を歌ってやっても、悲しまなかった。』
18 ヨハネが来て、食べも飲みもしないと、人々は『あれは悪霊につかれているのだ』と言い、
19 人の子が来て食べたり飲んだりしていると、『あれ見よ。食いしんぼうの大酒飲み、取税人や罪人の仲間だ』と言います。でも、知恵の正しいことは、その行いが証明します。」
(1)「天の御国は激しく攻められています」とは、どういう意味なのか。バプテスマのヨハネは、旧約時代に属する最後の預言者である。旧約聖書(預言者たちと律法)全体が、ヨハネに至るまで、天の御国(メシア的王国)の到来を預言していた。そして今、イエスの来臨とともに天の御国がイスラエルの民に差し出された。しかし、先駆者であるヨハネが現れて以来、敵対する者たちが、暴力的に天の御国の前進を阻んでいる。敵対する者たちとは、第一義的にはパリサイ人たち、第二義的にはサドカイ人たちである。(2)「あなたがたが進んで受け入れるなら、実はこの人こそ、きたるべきエリヤなのです」とは、どういう意味か。もしその時代のユダヤ人たちが、天の御国を進んで受け入れていたなら、ヨハネはメシアの先駆者として大成功を収めたことになる。マラキ4:5 には、こうある。「見よ。わたしは、主の大いなる恐ろしい日が来る前に、預言者エリヤをあなたがたに遣わす」。しかし、バプテスマのヨハネの働きは挫折した。従って、将来のある時点で、エリヤ自身が先駆者としての役割を果たすために帰って来なければならなくなったのである。
パリサイ人やサドカイ人は、なぜ天の御国を拒否したのであろうか。(1)まず、表面的な理由を上げてみる。彼らは、ヨハネが断食しているのを見て、「あれは悪霊につかれているのだ」と非難した(ヨハネはナジル人だったので、ぶどう酒を避けていた)。また、イエスが飲み食いしているのを見て、「あれは、取税人や罪人の仲間だ」と非難した(イエスは、ぶどう酒を飲んでいた)。ぶどう酒を飲んでも飲まなくても、非難の対象になったのである。(2)次に、彼らが天の御国を拒否した本当の理由を上げてみる。彼らは、傲慢のゆえに、天の御国を拒否したのである。ヨハネもイエスも、パリサイ派の信仰を受け入れず、その誤りを指摘した。それが、パリサイ人たちを怒らせたのである。(3)彼らは、市場に座って笛を吹く子どもたちのようである。自らの笛で、ヨハネとイエスを踊らせようとしたが、それがうまくいかなかった。(4)パリサイ人たちの偽善とは対照的に、イエスの教える知恵の正しさは、それを受け入れた者たちが結ぶ「行いの実」によって証明される。
私たちは、自分の笛に合わせて主イエスを踊らせようとしていないだろうか。私たちこそ、主が吹かれる笛の音に合わせて踊るべきである。
きょうの祈り
天の父なる神さま。どうか私が、主の笛に合わせて踊ることができますように、天の御国の進展を妨げることがありませんように、あなたの導きの御手を伸ばしてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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