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創世記50:1 ~ 3

1 ヨセフは父の顔に取りすがって泣き、父に口づけした。

2 ヨセフは彼のしもべである医者たちに、父をミイラにするように命じたので、医者たちはイスラエルをミイラにした。

3 そのために四十日を要した。ミイラにするにはこれだけの日数が必要だった。エジプトは彼のために七十日間、泣き悲しんだ。

ヤコブの遺体のミイラ化

一つの時代の終わり

ヤコブ(イスラエル)の死は、一つの時代の終わりを告げた。父の死を目撃したヨセフは、二つの反応を示している。(1)「ヨセフは父の顔に取りすがって泣き、父に口づけした」とある。ヨセフは、父への愛を示した。彼は父の遺体に取りすがって泣いたが、恐らく兄弟たち全員が同じようにしたことであろう。いかに死後のいのちの希望を持っていようとも、地上での別れは悲しく切ないものである。ヤコブは、晩年の17 年間をヨセフとともに過ごすことが出来た。二人にとって幸せな17 年だったことだろう。それは、労苦した信仰者に対する神からのご褒美ほうびのような期間であった。(2)ヨセフは父の信仰を受け継いでいた。彼は父の遺体を早速ミイラにした。その目的は、父の遺体をヘブロンのマクペラの洞穴ほらあなまで運ぶためであった。ヨセフもまた、いつかイスラエルの子孫がカナンの地を相続するようになることを信じたのである。

ミイラ化

死者をミイラにするのは、エジプトの上流階級の埋葬様式であった。それは、オシリス(冥界めいかいの神、死と復活をつかさどる神)崇拝と密接に結びついていた。そこでヨセフは、偶像礼拝をしているという誤解をけるために、細心の注意を払った。彼は、魔術的要素を持ったミイラ作りの技術者たちにではなく、自分のしもべである医者たちに父の遺体をミイラにするよう命じた。エジプトに寄留しながら、アブラハム、イサク、ヤコブの神のみを信頼し続けたヨセフの信仰が、ここにも現れている。(1)遺体をミイラにするために40 日を要した。ミイラにする方法については、前5 世紀のギリシアの史家ヘロドトスが、詳しく書き残している。まずのう内臓ないぞうを取り出し、体そのものを薬品漬けにする(遺体をピクルス漬けにするようなものである)。それから、遺体をかわかす。そこまで行くのに40 日かかった。(2)エジプトは、ヤコブのために70 日間に服した。エジプト人は、王(パロ)が死ぬと72 日間喪に服した。ヤコブの場合は、それよりも2 日短くなっている。恐らく、王と区別するために70 日としたのであろう。いずれにしても、ヤコブはエジプト人たちからも尊敬されていたのである。
ヤコブの信仰は、そのままヨセフに受け継がれた。ここに見られる麗わしい信仰の継承を私たちも求めよう。死後のいのちについて、親子が共通の希望と信仰を持つのは、なんという幸いであろうか。

きょうの祈り

アブラハム、イサク、ヤコブの神よ。信仰の継承について、チャレンジを与えてくださり感謝します。どうか、良き信仰者としての手本を示すことができますように私を助けてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

イザヤ書52~53、箴言29