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創世記46:1~7

1 イスラエルは、彼に属するすべてのものといっしょに出発し、ベエル・シェバに来たとき、父イサクの神にいけにえをささげた。

2 神は、夜の幻の中でイスラエルに、「ヤコブよ、ヤコブよ」と言って呼ばれた。彼は答えた。「はい。ここにいます。」

3 すると仰せられた。「わたしは神、あなたの父の神である。エジプトに下ることを恐れるな。わたしはそこで、あなたを大いなる国民にするから。

4 わたし自身があなたといっしょにエジプトに下り、また、わたし自身が必ずあなたを再び導き上る。ヨセフの手はあなたの目を閉じてくれるであろう。」

5 それから、ヤコブはベエル・シェバを立った。イスラエルの子らは、ヤコブを乗せるためにパロが送った車に、父ヤコブと自分たちの子や妻を乗せ、

6 また彼らは家畜とカナンの地で得た財産も持って行った。こうしてヤコブはそのすべての子孫といっしょにエジプトに来た。

7 すなわち、彼は、自分の息子たちと孫たち、自分の娘たちと孫娘たち、こうしてすべての子孫を連れてエジプトに来た。

エジプト移住を恐れるヤコブ(2)

恐れの理由

ヤコブがエジプト下りを恐れた理由は、いくつか考えられる。(1)年齢ねんれいから来る恐れ。彼は130 歳になっていた。老人は新しい環境や仕事を恐れる。「彼らはまた高い所を恐れ、道でおびえる」(伝12:5)とあるとおりである。(2)息子たちの将来への心配。これは、若い世代がエジプト文化と同化し、カナンの地を忘れるのではないかという心配である。そうなると、アブラハム以来継承けいしょうしてきた「家族の使命」を放棄ほうきする結果になる。(3)エジプトでの生活が困難なものになるのではないかという恐れ。彼は、神がアブラハムに語られた預言を知っていた。「あなたはこの事をよく知っていなさい。あなたの子孫は、自分たちのものでない国で寄留者となり、彼らは奴隷とされ、四百年の間、苦しめられよう」(創15:13)。(4)さらに、カナンの地を離れることへの恐れがあった。アブラハムはエジプトに下り、大失敗を犯した(創12:10~20)。イサクは神からエジプトに下るなという警告を受けた(創26:2)。ヤコブもまたカナンの地を去って、他国(パダン・アラム)に逃れたことがあった(28:1 ~5)が、これもまた、自分の都合による移動であった。結論を言うと、これまでにカナンの地を離れることについて神からの許可が一度も出ていないのである。ヤコブが国境越えを躊躇したのは、自然な心の動きであった。

神の顕現

神は夜の幻の中で、ヤコブに直接語りかけた(ヤコブへの6 回目の顕現けんげん)。(1)「わたしは神、あなたの父の神である」。アブラハム契約を結んだ神からの語りかけである。(2)「エジプトに下ることを恐れるな。わたしはそこで、あなたを大いなる国民とするから」。この約束の成就は、出エジプト12:37 に書かれている。(3)「わたし自身があなたといっしょにエジプトに下る。わたし自身が必ずあなたを再び導き上る」。(4)「ヨセフの手はあなたの目を閉じてくれるであろう」。これは、平安な死の約束である。
神のことばにはげまされて、ヤコブは本当の意味での旅立ちを果たした。彼は、ベエル・シェバを発ち、国境(境界線)を越えた。もう引き返せない。決断力は、どのようにして生まれるのだろうか。それは、御心を確信するところから生まれる。日々聖書を読み、祈っていると、徐々に神の御心が分かって来る。さらに、現状に安住しない、慣れ親しんだ方法や組織にこだわらない、といった心構えも必要である。神からの語りかけがあれば、年齢に関係なく応答すべきである。

きょうの祈り

イエス・キリストの父なる神さま。現状に安住しやすい私です。どうか、あなたの御心に従って歩むことができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

イザヤ書2~3、ローマ人への手紙2