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創世記32:26~32

26 するとその人は言った。「わたしを去らせよ。夜が明けるから。」しかし、ヤコブは答えた。「私はあなたを去らせません。私を祝福してくださらなければ。」

27 その人は言った。「あなたの名は何というのか。」彼は答えた。「ヤコブです。」

28 その人は言った。「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ。」

29 ヤコブが、「どうかあなたの名を教えてください」とたずねると、その人は、「いったい、なぜ、あなたはわたしの名を尋ねるのか」と言って、その場で彼を祝福した。

30 そこでヤコブは、その所の名をペヌエルと呼んだ。「私は顔と顔とを合わせて神を見たのに、私のいのちは救われた」という意味である。

31 彼がペヌエルを通り過ぎたころ、太陽は彼の上に上ったが、彼はそのもものために足を引きずっていた。

32 それゆえ、イスラエル人は、今日まで、もものつがいの上のこしの筋肉を食べない。あの人がヤコブのもものつがい、腰の筋肉を打ったからである。

新しい名

イスラエルという名

(1)その人は、「わたしを去らせよ。夜が明けるから」と言った。人間は、神の顔を見て、なおも生き続けることができないからである。(2)しかしヤコブは、「私はあなたを去らせません。私を祝福してくださらなければ」と食い下がった。ヤコブには、格闘している相手が神であるとの認識があった。彼は、兄のエサウよりも恐るべき方と格闘していたのである。(3)その人が「あなたの名は何というのか」と問うと、彼は「ヤコブです」と答えた。彼は、兄のかかと(アケブ)をつかんで生まれてきたので、「ヤコブ」と命名された(創25:26)。(4)「ヤコブです」と答えた瞬間、彼は、自分の人生は人と戦ってきた人生であったとの認識を新たにした。それどころか、本当は神と戦ってきたことに気づくのである。(5)その人は、「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ」と宣言した。(6)彼には、ヤコブという名以外にイスラエルという名が与えられた。その名は、「サラ」(戦う、支配する)と「エル」(神)の合成語で、「神と戦った人」、「神は戦われる」などの意味を持つ。ヤコブは、神と戦い、人と戦い、勝ったのである(ホセ12:3、4 参照)。しかし、イスラエルという名の第一義的な意味は、「ヤコブのために戦って来られた神は、これからはイスラエルのために戦われる」ということである。これは、兄のエサウに直面しようとしているヤコブにとってなぐさめとなった。

祝福を受けるヤコブ

(1)ヤコブがその人の名を尋ねると、「いったい、なぜ、あなたはわたしの名を尋ねるのか」という答えが返ってきた。つまり、すでに分かっているはずだ、という意味である。そしてその人は、神としてヤコブを祝福した。ヤコブは祝福を得るために格闘し、その結果、願ったものを得た。(2)彼は、その所にペヌエル(神の顔)という名を付けた。「私は顔と顔とを合わせて神を見たのに、私のいのちは救われた」という意味である。(3)「彼がペヌエルを通り過ぎたころ、太陽は彼の上に上ったが、彼はそのもものために足を引きずっていた」。ここには、敗北と祝福が同時に表現されている。
イスラエルという名の意味について黙想してみよう。神はイスラエルのために戦われる。そして、私たちのためにも戦ってくださる。神の計画に抵抗するのではなく、喜んで従おうではないか。

きょうの祈り

天の父なる神さま。あなたは私の砦、盾、岩です。私の心からいっさいの恐れを取り除いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

サムエル記第一4~5、ルカの福音書18

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