41 エサウは、父がヤコブを祝福したあの祝福のことでヤコブを恨んだ。それでエサウは心の中で言った。「父の喪の日も近づいている。そのとき、弟ヤコブを殺してやろう。」
42 兄エサウの言ったことがリベカに伝えられると、彼女は使いをやり、弟ヤコブを呼び寄せて言った。「よく聞きなさい。兄さんのエサウはあなたを殺してうっぷんを晴らそうとしています。
43 だからわが子よ。今、私の言うことを聞いて、すぐ立って、ハランへ、私の兄ラバンのところへ逃げなさい。
44 兄さんの憤りがおさまるまで、しばらくラバンのところにとどまっていなさい。
45 兄さんの怒りがおさまり、あなたが兄さんにしたことを兄さんが忘れるようになったとき、私は使いをやり、あなたをそこから呼び戻しましょう。一日のうちに、あなたがたふたりを失うことなど、どうして私にできましょう。」
46 リベカはイサクに言った。「私はヘテ人の娘たちのことで、生きているのがいやになりました。もしヤコブが、この地の娘たちで、このようなヘテ人の娘たちのうちから妻をめとったなら、私は何のために生きることになるのでしょう。」
< 28 章>
1 イサクはヤコブを呼び寄せ、彼を祝福し、そして彼に命じて言った。「カナンの娘たちの中から妻をめとってはならない。
2 さあ、立って、パダン・アラムの、おまえの母の父ベトエルの家に行き、そこで母の兄ラバンの娘たちの中から妻をめとりなさい。
3 全能の神がおまえを祝福し、多くの子どもを与え、おまえをふえさせてくださるように。そして、おまえが多くの民のつどいとなるように。
4 神はアブラハムの祝福を、おまえと、おまえとともにいるおまえの子孫とに授け、神がアブラハムに下さった地、おまえがいま寄留しているこの地を継がせてくださるように。」
5 こうしてイサクはヤコブを送り出した。彼はパダン・アラムへ行って、ヤコブとエサウの母リベカの兄、アラム人ベトエルの子ラバンのところに行った。
エサウの殺意を知ったリベカは、愛する息子ヤコブを救うために、彼を家から送り出す決心をする。(1)行き先は、リベカの故郷パダン・アラムのハランである(兄のラバン一家が住んでいた)。そこまでの距離は、およそ720㎞もある。(2)リベカは、「兄さんの憤りがおさまるまで、しばらくラバンのところにとどまっていなさい」と語ったが、この「しばらく」は、20 年にも及ぶのである。結局、リベカとヤコブの再会は実現しないままで、リベカは世を去ることになる。これは、リベカの罪に対する罰である。
「兄さんの怒りがおさまり、あなたが兄さんにしたことを兄さんが忘れるようになったとき、私は使いをやり、あなたをそこから呼び戻しましょう。一日のうちに、あなたがたふたりを失うことなど、どうして私にできましょう」。(1)彼女は、自分の責任をヤコブに押し付けた。イサクを欺くという策略の首謀者は、リベカであった。彼女は、自分がすべての呪いを引き受けると言いながら、ここでは責任転嫁に走っている。人間の限界を見せつけられる出来事である。(2)「ふたりを失う」とは、ノア契約の条項の適用である。「人の血を流す者は、人によって、血を流される。神は人を神のかたちにお造りになったから」(創9:6)。
リベカは、イサクにこう提案した。(1)ヤコブは、ヘテ人の娘たちのうちから妻をめとってはならない。イサクがしたように、パダン・アラムから妻を迎えるべきである。これは正当な理由であるが、彼女の主目的は、ヤコブを逃すことにあった。(2)そこでイサクは、ヤコブにこう命じた。「・・・さあ、立って、パダン・アラムの、おまえの母の父ベトエルの家に行き、そこで母の兄ラバンの娘たちの中から妻をめとりなさい」。(3)イサクは、ヤコブが長子の権利を継承したことを認め、アブラハム契約の祝福を彼に与えた。ヤコブが長子の権利を継承したことに対する神からの承認は、旅の途中で与えられる。(4)ヤコブは、エサウに知られないうちに、急いで旅立った。
本来は愛し合うべき家族の間に、亀裂が走った。問題の原因は、各人が、神の時と方法によらずに、人間的に行動を起こしたことにある。しかし、人間の罪や失敗の裏側では、神の計画が着々と進展していた。まさに、「恥はわがもの、栄光は主のもの」と叫びたくなる。主権者である神をほめたたえつつ、きょうもこの世に出て行こうではないか。
きょうの祈り
全知全能の神よ。あなたは主権をもって、私の人生を導いておられます。きょうも、あなたにのみ信頼を置いて歩むことができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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