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創世記27:11 ~ 17

11 しかし、ヤコブは、その母リベカに言った。「でも、兄さんのエサウは毛深い人なのに、私のはだは、なめらかです。

12 もしや、父上が私にさわるなら、私にからかわれたと思われるでしょう。私は祝福どころか、のろいをこの身にまねくことになるでしょう。」

13 母は彼に言った。「わが子よ。あなたののろいは私が受けます。ただ私の言うことをよく聞いて、行って取って来なさい。」

14 それでヤコブは行って、取って、母のところに来た。母は父の好むおいしい料理をこしらえた。

15 それからリベカは、家の中で自分の手もとにあった兄エサウの晴れ着を取って来て、それを弟ヤコブに着せてやり、

16 また、子やぎの毛皮を、彼の手と首のなめらかなところにかぶせてやった。

17 そうして、自分が作ったおいしい料理とパンを息子ヤコブの手に渡した。

リベカの罪(2)

不安になるヤコブ

リベカの提案ていあんを聞き、ヤコブは不安になった。「でも、兄さんのエサウは毛深い人なのに、私のはだは、なめらかです。もしや、父上が私にさわるなら、私にからかわれたと思われるでしょう。私は祝福どころか、のろいをこの身に招くことになるでしょう」。(1)「毛深い」という言葉は、「サイール」である。後にエサウが住み着く場所は「セイルの山地」であるが、これは「サイール」から出た言葉である。「それでエサウはセイルの山地に住みついたのである。エサウとはすなわちエドムである」(創36:8)。(2)「父上は、私にからかわれたと思われるでしょう」とは、「自分の盲目状態をからかわれたと思う」という意味である。ヤコブの不安は、もっともなことである。

励ますリベカ

リベカは、「わが子よ。あなたののろいは私が受けます。ただ私の言うことをよく聞いて、行って取って来なさい」と答えた。リベカは、自分が首謀者しゅぼうしゃなので、一切の呪いをその身に引き受けると約束した。このような約束をするのは、愚かなことである。
かくして、リベカの策略によってヤコブはイサクを欺くことになる。(1)視覚しかくについて:イサクは盲目もうもくなので、視覚は欺きの対象ではない。(2)味覚みかくについて:リベカは子やぎの肉を使って鹿肉の味がする料理を作り、イサクを欺いた。(3)嗅覚きゅうかくについて:リベカは、エサウの晴れ着をヤコブに着せて、イサクを欺いた。それは、狩猟しゅりょうのための衣服であった。(4)触覚しょっかくについて:リベカは、ヤコブの手と首のなめらかなところに子やぎの毛皮をかぶせて、イサクを欺いた。(5)聴覚ちょうかくについて:これだけは欺く方法がなかった。あんじょう、イサクは疑いを持つようになる。
再度確認するが、リベカの罪とは、族長の祝福をエサウから奪おうとしたことではない。長子の権利と族長の祝福は、表裏 一体ひょうりいったいの関係にある。神の選びによって、長子の権利はヤコブに与えられていた。また、エサウとヤコブの間に売買関係が成立していたので、法的にも長子の権利はヤコブのものとなっていた。ここでのリベカの罪とは、イサクを欺こうとしたことである。リベカは、その呪いを自らの身に引き受けると豪語ごうごしたが、そのとおりのことが彼女に起こる(ヤコブとの今生の別れ)。神の御心は必ず成就する。それを人間的な工夫によって実現させようとするのは、愚かなことである。人間的な知恵がよく回る人は、特に注意する必要がある。

きょうの祈り

アブラハム、イサク、ヤコブの神よ。いつも謙遜に、また誠実に、あなたの御前を歩ませてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

申命記19~20、マタイの福音書24