1 それで、神はノアと、その息子たちを祝福して、彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地に満ちよ。
2 野の獣、空の鳥、── 地の上を動くすべてのもの ── それに海の魚、これらすべてはあなたがたを恐れておののこう。わたしはこれらをあなたがたにゆだねている。
3 生きて動いているものはみな、あなたがたの食物である。緑の草と同じように、すべてのものをあなたがたに与えた。
4 しかし、肉は、そのいのちである血のあるままで食べてはならない。
5 わたしはあなたがたのいのちのためには、あなたがたの血の価を要求する。わたしはどんな獣にでも、それを要求する。また人にも、兄弟である者にも、人のいのちを要求する。
6 人の血を流す者は、人によって、血を流される。神は人を神のかたちにお造りになったから。
7 あなたがたは生めよ。ふえよ。地に群がり、地にふえよ。」
神は、箱舟を出たノアとその息子たちを祝福された。ノアには、第2 のアダムとしての役割が与えられた。つまり、アダムから人類の歴史が始まったように、大洪水の後はノアから人類の歴史が始まるのである。現在地上に生存している人類はすべてアダムの子孫であり、またノアの子孫である。ここで神は、ノアと契約を結ばれた。それが、「ノア契約」と言われるものである。聖書は、契約という概念を前提に読まないと、その深い意味は理解できない。
ノア契約には、5 つの条項がある。(1)「生めよ。ふえよ。地に満ちよ」(1 節)。これは、エデン契約の条項の確認でもある(創1:28)。この条項から、ノアがアダムと同じように人類の代表として立てられていることが分かる。大洪水の前にあった文明は破壊された。今後は、新しい文明がノアから始まることになる。(2)神は、動物の中に人への恐れを入れた。大洪水以降、人類は肉食の習慣を開始するが、この条項は、動物たちを守るためのものである。人は動物界に対する権威を保持するが、ノア契約には「地を従えよ」という命令はない。アダムの堕落以降、サタンが地の支配者となったからである。(3)肉食が許可された。エデン契約とアダム契約の下では、人間は菜食主義者であったが、これ以降、動物と緑の草が食物として許可された。後者は、エデン契約とアダム契約ですでに許可されていたものである。(4)肉は血のあるままで食べてはならない。「肉のいのちは血の中にある」という原則が確認された。この規定は、モーセの律法にも採用されることになる(レビ3:17、7:26 ~27、17:10 ~14、申12:15 ~16、20 ~24 参照)。(5)死刑制度が創設された。この制度を創設し維持するためには、人間の政府(統治機構)の存在が必要となる。計画的な殺人だけが死刑に該当する罪である。死刑を認める理由は、「人は神のかたちに造られている」からである。
殺人が悪である理由は、それが神のかたちに造られた尊い存在を破壊する罪だからである。すべての人は、動物世界とは一線を画す、知・情・意を持った存在である。神から愛されている存在である。神は、ひとりひとりの行為の責任を問われる。もし殺人を犯したなら、その人は、その罪の責任を問われることになる。人の命の重さについて黙想しようではないか。隣人の内に「神のかたち」を見る人は幸いである。その人は、隣人と平和な関係を結ぶ人である。
きょうの祈り
天地創造の神よ。あなたは私を救うことのできるお方です。私は信仰により、恵みによって救われました。それゆえ、霊的な子どもたちが増え広がりますように、私を用いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
年間聖書通読
歴代誌 第二13~14、詩篇141~142
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