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創世記4:19〜24

19 レメクはふたりの妻をめとった。ひとりの名はアダ、他のひとりの名はツィラであった。

20 アダはヤバルを産んだ。ヤバルは天幕に住む者、家畜を飼う者の先祖となった。

21 その弟の名はユバルであった。彼は立琴たてごとふえたくみにそうするすべての者の先祖となった。

22 ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅と鉄のあらゆる用具の鍛冶屋かじやであった。トバル・カインの妹は、ナアマであった。

23 さて、レメクはその妻たちに言った。「アダとツィラよ。私の声を聞け。レメクの妻たちよ。私の言うことに耳を傾けよ。私の受けた傷のためには、ひとりの人を、私の受けた打ち傷のためには、ひとりの若者を殺した。

24 カインに七倍の復讐があれば、レメクには七十七倍。」

カインの子孫レメク

一夫多妻

 アダムから7代目に当たるレメクは、人類史上初めて、ふたりの妻をめとった。妻の名は、アダ(装飾そうしょくかざるなどの意)とツィラ(きらきら輝くの意)で、ともに性的快楽を示唆しさする名前である。
 アダにふたりの息子が生まれた。(1)長男はヤバル(作り出す人の意)で、天幕に住む者、家畜を飼う者の先祖となった(遊牧民の先祖)。ちなみに、アベルもまた羊飼いであったが、彼の場合は定住の羊飼いであり、ヤバルの場合は遊牧の羊飼いである(ベドウィン的生活)。(2)次男は、ユバル(作り出す人の意、ヤバルと同じ語源)で、立琴と笛を奏する者の先祖となった。この時点で人類は、自らの上に下った裁きの要素を和らげるために、新しい物(製品、楽器など)を作り出し、生活の向上を図るようになった。
 ツィラには息子と娘が生まれた。(1)トバル・カイン(製作力を得た人の意)は、青銅と鉄を加工し、そこから用具を作る鍛冶屋となった。(2)娘の名はナアマ(みめうるわしいの意)である。通常は、女性の名は系図に出てこないが、ナアマは何か重要な役割を果たしたので、系図に登場しているのであろう。

レメクの歌

 レメクの歌は、聖書に登場する最初の歌であるが、その内容は、神に反抗するものである。この歌は3つの対句からなっている(ヘブル的対句法)。(1)彼は、妻に呼びかけている。(2)彼は、自分の力を誇っている。「私の受けた傷のためには、ひとりの人を、私の受けた打ち傷のためには、ひとりの若者を殺した」と自慢しているが、これは過剰防衛かじょうぼうえいである。彼は凶暴きょうぼうな人格を持った人物である。
(3)彼は、「カインに七倍の復讐があれば、レメクには七十七倍」と豪語している。この言葉は、「神の守りに頼るよりも、自分で自分を守る」という神からの独立宣言である。
 神を認めないなら、人間はどんどん堕落して行く。時間とともに技術や文化レベルの向上が見られるが、同時に、罪の影響の広がりも顕著である。今の世にも、神からの独立を宣言し、堕落して行く人は多くいる。レメクは77倍の復讐を誓ったが、主イエスは、それと正反対のことを言われた。「七度まで、などとはわたしは言いません。七度を七十倍するまで(赦しなさい)と言います」(マタ1822)。レメクのような生き方から離れ、主イエスの教えに従う歩みを始めようではないか。主イエスにあって、怒りや復讐心を制御しようではないか。

きょうの祈り

天の父なる神さま。あなたから離れたなら、私の生活は下降線をたどり始めます。私は無力です。それゆえ、あなたに信頼します。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

ネヘミヤ記11~12、ヨハネの手紙 第三