第1の区分

　アダムが堕落だらくした瞬間しゅんかん、神との最初の契約（エデン契約）が破棄はきされた。そこで神は、アダムと新しい別の契約を結ばれた。それが「アダム契約」である（創3：14〜19）。この契約は、4つに区分することができる。これは、神が誰に語りかけているかによる区分である。第1の区分では、神は蛇に向かって宣言される。（1）蛇にのろいが下るが、その理由は、蛇がサタンに悪用されたからである。通常は、動物の道義的責任が問われることはないのであるが、人間に害をもたらした場合は、動物もまた責任を負わされることになる（創9：5、出21：28参照）。（2）アダムの罪によって、動物界全般がのろわれたが、蛇は、あらゆる家畜、あらゆる野の獣よりものろわれた。「おまえは、一生、腹ばいで歩き、ちりを食べなければならない」とある。

第2の区分

　次に神は、サタンに向かって裁きを宣言された。その内容は、「原福音」（福音の原型）と呼ばれるもので、きわめて重要である。（1）神は、サタンと女の間に敵意を置かれた。サタンは、女から救い主が誕生することを妨害しようとして、女を攻撃するようになる（創6：1〜4参照）。（2）さらに神は、「サタンの子孫」と「女の子孫」の間に敵意を置かれた。「女の子孫」とはメシアのこと、「おまえの子孫」とは反キリストのことである。メシアが「女の子孫」と呼ばれている理由は、イザヤ7：14になって初めて明かされる。メシアは、乙女から誕生するのである。それと同じように、反キリストもまた、超自然的な誕生を経験することになる。（3）「彼（メシア）は、おまえの頭を踏み砕き、おまえは、彼のかかとにかみつく」とある。かかとにかみつかれるのは、痛いことであるが、致命的ちめいてきではない。イエスの十字架の死は、サタンがそのかかとにかみついた出来事である。しかし主イエスは、復活によってサタンの頭を踏み砕かれた。
　サタンに対する全面的勝利は、アダム契約の中に書かれ、保証されている。しかしサタンは、現在のところ、この世の支配者として暗躍あんやくしている。この世の価値観は、サタンによって作られたものである。もし私たちがサタンの側についているなら、私たちは滅びに向かって前進していることになる。私たちに関しては、キリストの側について、全面的勝利に向かって前進しようではないか。きょう一日、自分の立ち位置を確認しながら歩もうではないか。