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使徒の働き28:11〜16 (新改訳3版)

11 三か月後に、私たちは、この島で冬を過ごしていた、船首にデオスクロイの飾りのある、アレキサンドリヤの船で出帆した。

12 シラクサに寄港して、三日間とどまり、

13 そこから回って、レギオンに着いた。一日たつと、南風が吹き始めたので、二日目にはポテオリに入港した。

14 ここで、私たちは兄弟たちに会い、勧められるままに彼らのところに七日間滞在した。こうして、私たちはローマに到着した。

15 私たちのことを聞いた兄弟たちは、ローマからアピオ・ポロとトレス・タベルネまで出迎えに来てくれた。パウロは彼らに会って、神に感謝し、勇気づけられた。

16 私たちがローマに入ると、パウロは番兵付きで自分だけの家に住むことが許された。

マルタからローマへ(1)

文脈の確認

今パウロは、カイザリヤからローマに向かっている。その過程で、パウロは幾多の困難に遭遇して来た。①大嵐に遭遇し、船が漂流した。②船が座礁した。③マルタ島でまむしに噛まれた。しかし、パウロの命は守られて来た。そしてついに、彼はローマに到着する。

マルタからポテオリへ

「三か月後に、私たちは、この島で冬を過ごしていた、船首にデオスクロイの飾りのある、アレキサンドリヤの船で出帆した。シラクサに寄港して、三日間とどまり、そこから回って、レギオンに着いた。一日たつと、南風が吹き始めたので、二日目にはポテオリに入港した」。(1)パウロの一行は、マルタ島で3 ヶ月間待った。春になると航海が可能になる。マルタ島からローマまでは、まだ335キロもある。(2)百人隊長は、マルタ島で冬を過ごしていた船を予約することができた。この船は、アレキサンドリヤを母港とする穀物船である。(3)この船は、船首に「デオスクロイの飾り」のあるアレキサンドリヤの船であった。「デオスクロイ」は、航海の守護神である。カストルとポルックスという双子のギリシア神話の神を指す。ローマ時代の地中海では、「デオスクロイ」を船首に飾った船がたくさん航海していた。(4)ルカが「デオスクロイの飾りのある船」と書いているのは、皮肉(アイロニー)である。ルカは、真の守護神は誰かを思い起こさせるためにこれを書いたのであろう。嵐の海にあって私たちを守ってくださるのは、天地を創造された神だけである。
マルタ島を出帆してからの旅程は、以下のようなものである。①シラクサ:シチリア島の東岸にある大いに栄えた港町。船は、ここに3 日間留まった。②レギオン:イタリア半島のつま先に位置する港町。③ポテオリ:さらに360 キロ北。イタリア半島のすねの部分に位置する港町。ほとんどの船が、この港町で船荷を降ろす。
ここで、使徒の働きの執筆プラン(使1:8)を思い起こそう。「しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります」(使1:8)。(1)福音伝達は、エルサレムから始まった。(2)ペテロを中心とした使徒たちの伝道によって、福音はユダヤに広まった。(3)ピリポの伝道によって、福音はサマリヤに広まった。(4)パウロの伝道によって、福音は地の果てまで広まって行く。私たちは、パウロの働きの継承者である。

年間聖書通読

伝道者の書9〜10、ヘブル人への手紙10