父と母を敬え

出エジプト20：12 には、こうあった。「あなたの父と母を敬え。あなたの神、【主】が与えようとしているその土地で、あなたの日々が長く続くようにするためである」。申命記5：16 もほぼそれと同じだが、最後の部分に若干の追加が見られる。「あなたの父と母を敬え。あなたの神、【主】が命じたとおりに。それは、あなたの日々が長く続くようにするため、また、あなたの神、【主】があなたに与えようとしているその土地で幸せになるためである」。（1）両親を敬うとは、彼らの存在を高く評価することである。この命令は、契約の伝達という視点から理解する必要がある。別の言い方をすると、両親を敬うとは、彼らが教える契約条項に従順になるということである。イスラエル社会では、子どもを教育する責務は、国や宗教的指導者たちではなく、両親（特に父親）にある。そのことが、第5 戒の前提になっている。（2）「それは、あなたの日々が長く続くようにするため、」とは、約束の地でイスラエルの民が長く住むことができるため、という意味である。ここでの「あなた」は、複数形である。（3）申命記では、「また、あなたの神、【主】があなたに与えようとしているその土地で幸せになるためである」という部分が、付加されている。神の御心は、イスラエルの民が約束の地で長く住むということだけではない。約束の地は良い地である。神は、彼らがその良い地で幸せな生活を送ることを願っておられる。（4）以下のような行為が、第5 戒違反に当たる。①両親に暴力を振るう。②両親を呪ったり悪口を言ったりする。③年老いた両親の面倒を見ない。④手厚い葬りをしない。

私たちへの教訓

イスラエル社会では、宗教的伝統の継承が行われる場所は家庭である。つまり、それぞれの世代において、父親が子どもたちに、契約に基づく教えを教えるということである。かくして、宗教的伝統が継承されて行く。子どもが両親を敬う理由は、両親が契約を継承するための神の代理人として機能しているからである。もし子どもが両親を敬わなくなったなら、それは、契約の継承が危険にさらされているということである。契約の継承は、約束の地で長く住むという約束が成就するための条件である。
自らの家庭のことを振り返り、この箇所から学んだ教訓を適用してみよう。親は、子どもたちから尊敬されるような信仰生活を追求すべきである。