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使徒の働き12:20 ~ 23

20 さて、ヘロデはツロとシドンの人々に対して強い敵意を抱いていた。そこで彼らはみなでそろって彼をたずね、王の侍従ブラストに取り入って和解を求めた。その地方は王の国から食糧を得ていたからである。

21 定められた日に、ヘロデは王服を着けて、王座に着き、彼らに向かって演説を始めた。

22 そこで民衆は、「神の声だ。人間の声ではない」と叫び続けた。

23 するとたちまち、主の使いがヘロデを打った。ヘロデが神に栄光を帰さなかったからである。彼は虫にかまれて息が絶えた。

円形劇場での演説(1)

外交問題

「さて、ヘロデはツロとシドンの人々に対して強い敵意を抱いていた。そこで彼らはみなでそろって彼をたずね、王の侍従ブラストに取り入って和解を求めた。その地方は王の国から食糧を得ていたからである」。(1)ヘロデは、ツロとシドンに対して強い敵意を抱いていた。ツロとシドンは、イスラエルの北に位置するフェニキアの2 大都市である。怒りの原因は分からないが、ヘロデはこの2大都市への輸出を禁止していた(特に食糧輸出の禁止)。(2)ツロとシドンの人々は、ヘロデとの確執が長期化することを恐れた。イスラエルからの穀物輸入がなければ、食糧不足に陥る。恐らく、飢饉ききんが始まる兆候が現れ始めていたのであろう。(3)そこで彼らは、ヘロデとの和解を求めた。彼らは、大規模な使節団をカイザリヤに送った。王の侍従ブラストを味方につけた。つまり、賄賂わいろを贈ったということであろう。

ヘロデの演説

「定められた日に、ヘロデは王服を着けて、王座に着き、彼らに向かって演説を始めた。 そこで民衆は、『神の声だ。人間の声ではない』と叫び続けた」。(1)紀元44 年の夏のある日、皇帝クラウデオを称えるという名目で、祭りが開催された。その祭りの日に、ツロとシドンの市民たち、またカイザリヤの市民たちが、円形劇場に集まった。これは、祖父のヘロデ大王が建設した建物である。(2)その場所で、ヘロデは演説を始めた。彼は、王服を着けた。銀製の王服で、朝日に照らされ、見事な輝きを放ったという(ヨセフスの記録)。彼は、王座に着いた。円形劇場の中央に王座が設けられていた。彼は、出席していた人たちに向かって演説を始めた。当時は、着座した状態で演説するのが一般的であった。(3)聴衆の反応は驚くべきものであった。ヘロデのスピーチは、確かに力強いものであったが、聴衆は、おべっかを使わざるを得ない状況にあった。彼らは、「神の声だ。人間の声ではない」と叫び続けた。ユダヤ人史家のヨセフスによれば、彼らはこう叫んだという。「私たちをあわれんでください。これまで私たちは、あなたを人としてのみ敬ってきましたが、これからは、人間以上のお方としてあがめます」。(4)ヘロデは、この声を叱責しっせきすることも、制止することもしなかった。
人が犯す罪の中で最も恐ろしいのは、自分が神になろうとする罪、神のように振る舞う罪である。ヘロデの傲慢ごうまんに対して、神の裁きが下る。神はあなどられるようなお方ではない。

きょうの祈り

聖なる神よ。あなたは侮られるようなお方ではありません。あなただけが崇められるお方です。きょうも御心に従って歩みます。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

伝道者の書3~4、ヘブル人への手紙9