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使徒の働き7:17 ~ 22

17 神がアブラハムにお立てになった約束の時が近づくにしたがって、民はエジプトの中にふえ広がり、

18 ヨセフのことを知らない別の王がエジプトの王位につくときまで続きました。

19 この王は、私たちの同胞どうほうに対して策略さくりゃくを巡らし、私たちの父祖たちを苦しめて、幼子を捨てさせ、生かしておけないようにしました。

20 このようなときに、モーセが生まれたのです。彼は神の目にかなった、かわいらしい子で、三か月の間、父の家で育てられましたが、

21 ついにてられたのをパロの娘が拾い上げ、自分の子として育てたのです。

22 モーセはエジプト人のあらゆる学問を教え込まれ、ことばにもわざにも力がありました。

ステパノの弁明③

約束の時が近づいた

ヨセフと同じように、モーセもまた解放者である。そのことをこれから見てみよう。
「神がアブラハムにお立てになった約束の時が近づくにしたがって、民はエジプトの中にふえ広がり、ヨセフのことを知らない別の王がエジプトの王位につくときまで続きました」。(1)エジプト滞在中に、イスラエルの民は増え広がり、一大民族となった。モーセの登場は、「神がアブラハムにお立てになった約束の時」が近づいた証拠である。出エジプトは、アブラハム契約の約束が成就する出来事である。(2)「ヨセフのことを知らない別の王」が登場した。「新しい」(ハダッシュ)は、七十人訳聖書(ギリシア語訳聖書)で「ヘテロス」(質的に新しいという意味)と訳されている。「ヘテロス」という言葉は、エジプトに新しい王朝が誕生したことを示唆しさしている。この時から、反ユダヤ的政策が始まる。
「この王は、・・・私たちの父祖たちを苦しめて、幼子を捨てさせ、生かしておけないようにしました。このようなときに、モーセが生まれたのです。・・・」。(1)エジプトは、人類の歴史上、最初に反ユダヤ主義を政策に取り入れた国である。パロは、ヘブル人の幼子が男なら殺すように命じた。次のパロは、生まれた男の子はみなナイル川に投げ込むように命じた。(2)モーセが誕生した時、両親は幼子を3 ヶ月間家に隠して育てたが、それが出来なくなると、幼子をナイル川に浮かべた。(3)パロの娘がその幼子を拾い上げ、王宮で自分の子として育てた。
「モーセはエジプト人のあらゆる学問を教え込まれ、ことばにもわざにも力がありました」。(1)モーセは、エジプトの王子として帝王学を学んだ。ルカは、モーセの学問について詳しくは書いていないが、ヨセフスとフィロンがそれに言及している。数学、幾何きか学、音楽、文学、天文学、著述ちょじゅつ、哲学などがそれである。(2)モーセの能力はひいでていたが、彼の悩みは2 つのアイデンティティを持っていたことである。自分はエジプト人なのかヘブル人なのかという悩みである。(3)40 歳になって、彼はヘブル人としてのアイデンティティを選ぶことにした。「彼は、キリストのゆえに受けるそしりを、エジプトの宝にまさる大きな富と思いました。彼はむくいとして与えられるものから目を離さなかったのです」(ヘブ1126)。私たちにも人生の選択の時が来る。この世の富を優先させるか、神とともに歩むことを優先させるかという選択である。

きょうの祈り

父なる神さま。人生の選択を迫られる時、あなたとともに歩むことを優先させられるよう助けてください。御霊によって満たしてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

年間聖書通読

エゼキエル書2~3、ガラテヤ人への手紙1