初子に関する詳細な規定

11 〜 16 節で、初子に関する詳細な規定が語られる。（1）男の初子、あるいは家畜の雄の初子は、すべて主のものとなる。（2）家畜の初子の場合は、それをほふる。（3）人間の初子の場合は、ほふることができないので、代価を払って贖う。民数記18：16 によれば、身代わりの代金は銀5 シェケルである。「初子は、生後一か月を経た後、銀五シェケル、つまり一シェケル当たり二十ゲラの聖所シェケルの贖い金を支払う」（新共同訳）とある。（4）汚れた家畜の初子は、ほふることができない。それで、この場合も代価を払って贖うことになる。ろばは、汚れた家畜の代表として挙げられている。頭数が最も多かったからであろう。ろば以外に、馬、らくだなどもいる。贖いの代価となったのは、羊である。もし贖わない場合は、その首を折る。（5）これらの規定が与えられている理由は、子孫に出エジプトの出来事を伝えることにあった。子孫に伝えるべきメッセージは、以下のようなものである。①出エジプトの際、【主】はエジプトの初子を人から家畜に至るまで打たれた。②それゆえ、イスラエル人は初子をみな贖う。③そして、このことを手の上のしるしとし、額の上の記章とする。

健全な自己認識

この個所は、クリスチャンの自己認識を確立するための助けとなる。（1）神は、私たちの上に所有権を主張される。「イスラエル人の間で、最初に生まれる初子はすべて、人であれ家畜であれ、わたしのために聖別せよ。それはわたしのものである」（出13：2）。（2）出エジプトの目的は、2 つある。①奴隷の家からの解放と、②【主】の民の形成である。（3）新約聖書における出エジプト（霊的解放）にも2 つの目的がある。①罪の束縛と死の恐怖からの解放と、②【主】の民の形成である。新約聖書の聖句から、クリスチャンは、自分が主の所有とされていることを確認することができる。「あなたがたは自分自身と群れの全体とに気を配りなさい。聖霊は、神がご自身の血をもって買い取られた神の教会を牧させるために、あなたがたを群れの監督にお立てになったのです」（使20：28）。「あなたがたは、代価を払って買い取られたのです。ですから自分のからだをもって、神の栄光を現しなさい」（1 コリ6：20）。私たちのいのちは、すでに贖われている。このことの意味について、黙想してみよう（ロマ12：1 参照）。