1 そこで、天の御国は、たとえて言えば、それぞれがともしびを持って、花婿を出迎える十人の娘のようです。
2 そのうち五人は愚かで、五人は賢かった。
3 愚かな娘たちは、ともしびは持っていたが、油を用意しておかなかった。
4 賢い娘たちは、自分のともしびといっしょに、入れ物に油を入れて持っていた。
5 花婿が来るのが遅れたので、みな、うとうとして眠り始めた。
6 ところが、夜中になって、『そら、花婿だ。迎えに出よ』と叫ぶ声がした。
7 娘たちは、みな起きて、自分のともしびを整えた。
8 ところが愚かな娘たちは、賢い娘たちに言った。『油を少し私たちに分けてください。私たちのともしびは消えそうです。』
9 しかし、賢い娘たちは答えて言った。『いいえ、あなたがたに分けてあげるにはとうてい足りません。それよりも店に行って、自分のをお買いなさい。』
10 そこで、買いに行くと、その間に花婿が来た。用意のできていた娘たちは、彼といっしょに婚礼の祝宴に行き、戸がしめられた。
11 そのあとで、ほかの娘たちも来て、『ご主人さま、ご主人さま、あけてください』と言った。
12 しかし、彼は答えて、『確かなところ、私はあなたがたを知りません』と言った。
13 だから、目をさましていなさい。あなたがたは、その日、その時を知らないからです。
メシアの再臨を待つ信者たちは、常にその備えをしておく必要がある。その点を強調するために、イエスは合計5 つのたとえ話を語られた(そのうちの4 つがマタイに出てくる)。この箇所は、マタイに書かれた第3 のたとえ話で、「花婿を迎える10 人の娘たち」の話である。これを解釈するためには、ユダヤ式結婚の習慣を知る必要がある。
ユダヤ式結婚の4 つのステップ。(1)婚約の段階。婚約は、親同士が行うことが多かった。花婿の父は、花嫁の父に「花嫁料」を支払った。婚約は、婚礼の日の1 年以上前に行われた。教会はキリストの花嫁であるが、主イエスが十字架上で血を流された時、「花嫁料」が支払われ、婚約が成立した(エペ5:22 ~32)。(2)花婿が花嫁を迎えに出る段階。婚礼の準備が整うと、花婿は花嫁を迎えに出かけ、自分の家に連れて帰った。これは、教会の携挙を象徴している。(3)婚礼の段階。婚礼は、内輪で行う少人数の式である。キリストと教会の婚礼は、再臨の直前に天で行われる(黙19:6 ~8)。(4)婚宴の段階。これは、大人数の客が出席する宴会である(7 日間続くのが普通)。婚宴は、メシア的王国を象徴している。
このたとえ話の背景は、ユダヤ式結婚式の第2 段階である。花婿が花嫁を連れて家に近づくと、未婚の娘たちがその一行を迎えに出た。(1)花婿が花嫁を連れて家に帰って来るというのは、メシアの再臨を象徴している。(2)花婿が家に戻って来ると、そこには用意のできている娘たち(信者)と、用意のできていない娘たち(未信者)がいた。彼らは、大患難時代を通過している異邦人たちである。(3)用意のできている娘たち(信者)とは、主イエスを信じて油(聖霊)を持っている人々、用意のできていない娘たち(未信者のこと。「愚か」と呼ばれている。詩篇14:1参照)とは、油(聖霊)を持っていない人々である。信仰がなければ、聖霊を受けることもない。
このたとえ話では、教会の聖徒たちは携挙に与り、すでに天に挙げられていることが前提となっている。花婿イエスは、教会の聖徒たち(花嫁)を連れて地上に帰還される。地上でそれを待っているのは、大患難時代を通過している異邦人たちである。その中に、信じた者(聖霊が与えられた人)と、信じない者(聖霊が与えられていない人)がいるのである。再臨に備える生き方とは、内住の聖霊によって日々導かれて歩むことである。
きょうの祈り
天の父よ。信者には聖霊の油注ぎが与えられていることを感謝します。いつも目をさましていることができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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