1 ヨセフはパロのところに行き、告げて言った。「私の父と兄弟たちと、羊の群れ、牛の群れ、そして彼らのものすべてがカナンの地からまいりました。そして今ゴシェンの地におります。」
2 彼は兄弟の中から五人を連れて、パロに引き合わせた。
3 パロはヨセフの兄弟たちに尋ねた。「あなたがたの職業は何か。」彼らはパロに答えた。「あなたのしもべどもは羊を飼う者で、私たちも、また私たちの先祖もそうでございます。」
4 彼らはまたパロに言った。「この地に寄留しようとして私たちはまいりました。カナンの地はききんが激しくて、しもべどもの羊のための牧草がございませんので。それでどうか、あなたのしもべどもをゴシェンの地に住ませてください。」
5 その後、パロはヨセフに言った。「あなたの父と兄弟たちとがあなたのところに来た。
6 エジプトの地はあなたの前にある。最も良い地にあなたの父と兄弟たちとを住ませなさい。彼らはゴシェンの地に住むようにしなさい。もし彼らの中に力のある者がいるのを知っていたら、その者を私の家畜の係長としなさい。」
ここで、文脈を確認してみよう。ついにヤコブの一家がエジプトに移住した。ボーダーライン(国境)を越えて異国の地に入った時には、普段以上に洞察力が必要である。ヨセフは、パロとの会見で一家の将来の運命が決まることを知っていた。すでにパロは、ヨセフの家族のエジプト移住を歓迎していたが、ヨセフは、パロの許可なしには何もしないことに決めていた。ここにヨセフの知恵がある。(1)ヨセフは兄弟5 人をパロに紹介した。なぜ5 人なのかは分からない。おそらく、一家の代表として、異なった特徴を持った5 人を選んでパロに紹介したのであろう。(2)ヨセフは、パロが最初に職業について尋ねることを知っていた。パロは、ヨセフの一家がエジプトで労働することを前提に、彼らを受け入れていた。怠惰な寄留者は、いわば居候であり、エジプトにとっては迷惑である。またパロには、ヨセフのように有能な人物が兄弟たちの中にいるなら、その人を宮廷の仕事に採用したいとの思いもあった。(3)パロから職業は何かと聞かれ、ヨセフの兄弟たちは、自分たちは先祖の時代から羊飼いであると答えた。さらに、「この地に寄留しようとしてまいりました」とも言った。彼らは、いつか必ずカナンの地に帰還するとの決意を持って、エジプトに移住していた。(4)彼らはパロに、「ゴシェンの地に住ませてください」と願った。その背後にある動機は、エジプト文化からの隔離である。
パロは裁定を下した。「あなたの父と兄弟たちとがあなたのところに来た。エジプトの地はあなたの前にある。最も良い地にあなたの父と兄弟たちとを住ませなさい。彼らはゴシェンの地に住むようにしなさい。もし彼らの中に力のある者がいるのを知っていたら、その者を私の家畜の係長としなさい」。(1)パロは、ヨセフの一家がゴシェンの地に住むことを許可した。そこは、ナイル川のデルタ地帯にある肥沃な地で、羊を飼うのに適していた。(2)パロは、ヨセフの兄弟たちの中に有能な者がいるなら、家畜の管理を任せると提案した。ヨセフがそれを受け入れたかどうかは、分からない。おそらく、そうはならなかったと思われる。エジプト文明からの分離が、最重要課題だからである。
ヨセフが発揮した知恵と洞察力から教訓を学び、クリスチャンが持っている寄留者としての自己認識について黙想してみよう。「分離→成長→派遣」という霊的サイクルを自分に当てはめてみよう。
きょうの祈り
イエス・キリストの父なる神さま。私もまた、地上では寄留者です。今何をなすべきかを教えてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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