28 さて、ヤコブはユダを先にヨセフのところに遣わしてゴシェンへの道を示させた。それから彼らはゴシェンの地に行った。
29 ヨセフは車を整え、父イスラエルを迎えるためにゴシェンへ上った。そして父に会うなり、父の首に抱きつき、その首にすがって泣き続けた。
30 イスラエルはヨセフに言った。「もう今、私は死んでもよい。この目であなたが生きているのを見たからには。」
31 ヨセフは兄弟たちや父の家族の者たちに言った。「私はパロのところに知らせに行き、申しましょう。『カナンの地にいた私の兄弟と父の家族の者たちが私のところに来ました。
32 この人たちは羊を飼う者です。家畜を飼っていた者です。彼らは、自分たちの羊と牛と彼らのものすべてを連れて来ました。』
33 パロがあなたがたを呼び寄せて、『あなたがたの職業は何か』と聞くようなときには、
34 あなたがたは答えなさい。『あなたのしもべどもは若い時から今まで、私たちも、また私たちの先祖も家畜を飼う者でございます』と。そうすれば、あなたがたはゴシェンの地に住むことができるでしょう。羊を飼う者はすべて、エジプト人に忌みきらわれているからです。」
「ヤコブは、ヨセフをゴシェンに連れて来るために、ユダを一足先にヨセフのところへ遣わした。そして一行はゴシェンの地に到着した」(新共同訳)。ここでは、ユダが先に派遣されている。これは、兄弟たちの中におけるユダの優位性を示す証拠である。ユダはメシアの系図にその名を連ねる人であるが、すでにこの段階で頭角を現している(父ヤコブの信頼を得ていた)。ヤコブは、ヨセフに自分たちが到着したことを伝えるために、ユダを派遣したのである。
ヨセフは、ゴシェンの地で父を迎えた。「ヨセフは車を整え、父イスラエルを迎えるためにゴシェンへ上った。そして父に会うなり、父の首に抱きつき、その首にすがって泣き続けた」。ヨセフは戦車に乗って、ゴシェンの地にやって来た。2 人は、感動的な再会を果たしたが、これは実に22 年ぶりの再会であった。ルカ15:20 では、父が放蕩息子に走り寄っているが、ここでは、孝行息子のヨセフが父に走り寄って抱擁し、涙を流している。ヤコブは、「もう今、私は死んでもよい。この目であなたが生きているのを見たからには」と言ったが、さらに17 年間エジプトで生きることになる。
ヨセフは兄弟たちに、パロに会った時には、羊飼いという職業を強調せよと助言する。エジプト人たちは羊飼いを忌み嫌っていたので、一家はゴシェンの地に隔離されて住むことができるようになるはずだからである。ここで、ヨセフの洞察力の内容について考えてみよう。(1)それは、アブラハム以来の民族の歴史の文脈を見る目である。ヨセフは、一家に与えられていた使命を理解していた。(2)それは、将来を見通す目である。エジプトは寄留の地に過ぎない。ヨセフには、一家は必ずカナンの地に帰還するという確信があった。(3)それは、自らの役割を認識する目である。いま必要なのは、エジプト文明からの隔離である。ゴシェンの地に住み、同族内で結婚し、人口を増やすことが、当面の課題である。
激動の時代を生きる私たちにとっても、最も必要なものは洞察力である。私たちは、どういう視点から祖国の将来像を描けばよいのだろうか。クリスチャンにとっては、政治的視点や経済的視点だけでなく、神の国の視点からも、祖国の将来像を描くことが大切である。その上で、歴史の文脈の中で自分はどのような役割を果たすべきかを祈り求める必要がある。聖書研究の目的は、神の計画を知り、その計画と調和するような人生設計を行うことである
きょうの祈り
全知全能の神よ。どうかあなたの目を通して、時代を見ることができますように、私に洞察力を与えてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
年間聖書通読
イザヤ書6~7、ローマ人への手紙4
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