54 群衆にもこう言われた。「あなたがたは、西に雲が起こるのを見るとすぐに、『にわか雨が来るぞ』と言い、事実そのとおりになります。
55 また南風が吹きだすと、『暑い日になるぞ』と言い、事実そのとおりになります。
56 偽善者たち。あなたがたは地や空の現象を見分けることを知りながら、どうして今のこの時代を見分けることができないのですか。
57 また、なぜ自分から進んで、何が正しいかを判断しないのですか。
58 あなたを告訴する者といっしょに役人の前に行くときは、途中でも、熱心に彼と和解するよう努めなさい。そうでないと、その人はあなたを裁判官のもとにひっぱって行きます。裁判官は執行人に引き渡し、執行人は牢に投げ込んでしまいます。
59 あなたに言います。最後の一レプタを支払うまでは、そこから決して出られないのです。」
この箇所でイエスは、群集、特に、パリサイ人や律法学者たちに語りかけておられます。イエスは、彼らのことを「偽善者たち。」(56節)と呼んでいます。「偽善者」とは、ギリシャ古典劇から来た用語で、仮面をつけた演技者のことです。それが転じて、内面と外面とが違う人のことを「偽善者」と呼ぶようになりました。彼らの特徴は、外面的なことには敏感であっても、霊的なことには無感覚であったことです。たとえば、彼らは、天気を予測する能力にはたけていました。地中海の方向(西の方)に雲が見えると、それはにわか雨が降る兆候でした。砂漠の方向(南の方)から風が吹くと、それは気温が上がる徴(しるし)でした。しかし彼らは、空に起こる変化を読むことができても、天の御国に起こった変化を読むことができませんでした。風の動きを察知することができても、聖霊の動きを理解することはできませんでした。「時代」と訳されていることばは、ギリシャ語の「カイロス」のことで、「神の時」を指します。偽善者たちは、神の視点から、時代を読むことができない人々でした。
イエスが語られた「今のこの時代」とは、イエスにおいて到来した「神の時」、「恵みの時」のことです。ヘブル人への手紙1:1~2にはこうあります。「神は、むかし先祖たちに、預言者たちを通して、多くの部分に分け、また、いろいろな方法で語られましたが、この終わりの時には、御子によって、私たちに語られました。」また、コリント人への手紙第二6:2には、「確かに、今は恵みの時、今は救いの日です。」とあります。イエスは、告訴する者と熱心に和解するように努めなさいと教えてくださいました。これは、単に地上での裁判を指しているのではなく、神と緊急に和解する必要があることを教えたものです。ユダヤ民族の将来には、暗雲が垂れこめていました。紀元66年~70年にかけて、ローマ帝国に対するユダヤ人の反乱が起き、エルサレムが滅びる結果となることを、イエスはご存じだったのです。あなたは今の時代をどう読んでいますか。(1)何よりも、今は、恵みの時、救いの日です。(2)イエスの再臨が今までより、もっと近づいている時です。(3)イエスの十字架を通して、緊急に神と和解する必要がある時です。このような時代認識を持ったとき、自分の生き方のどこがどのように変わるのか、黙想してみましょう。
きょうの祈り
イエス・キリストの父なる神よ。多くの人々が、将来を予測し、その変化に備えようとしています。しかし、神の視点から時代を読もうとする人は、そう多くはいません。今私に、「今の時代」を読む霊的な目を与えてください。主イエスの御名によって祈ります。アーメン。
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雅歌7~8、ヤコブの手紙4
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