3 ヤコブはセイルの地、エドムの野にいる兄のエサウに、前もって使者を送った。
4 そして彼らに命じてこう言った。「あなたがたは私の主人エサウにこう伝えなさい。『あなたのしもべヤコブはこう申しました。私はラバンのもとに寄留し、今までとどまっていました。
5 私は牛、ろば、羊、男女の奴隷を持っています。それでご主人にお知らせして、あなたのご好意を得ようと使いを送ったのです。』」
6 使者はヤコブのもとに帰って言った。「私たちはあなたの兄上エサウのもとに行って来ました。あの方も、あなたを迎えに四百人を引き連れてやって来られます。」
マハナイムで天使たちがともにいることを体験したヤコブは、次に兄のエサウとの再会の準備に取りかかる。(1)彼は、兄のエサウに前もって使者を送った。その理由は、20 年経った今も、エサウを恐れていたからである。(2)エサウは、セイルの地に住んでいた。そこは、ギルアデの南側にある高地で、いまヤコブの一行が移動しつつある場所である。エドムの野とは、セイルがあった地区のことである。(3)ヤコブが使者にゆだねたメッセージの内容は、次のようなものであった。・ 彼は、エサウを「主人」と呼び、自分を「あなたのしもべ」と呼んでいる。・ また彼は、自分が多くの家畜や奴隷を所有する裕福な者となっていることを伝える。これは、兄エサウに贈り物をささげる用意があることの意思表明である。・ さらに彼は使者たちに、「それでご主人にお知らせして、あなたのご好意を得ようと使いを送ったのです」と言わせている。なんと謙遜な言葉であろうか。
ヤコブがエサウを「主人」と呼び、自分を「あなたのしもべ」と呼んでいるのは、単なる言葉の綾ではない。彼は、長子の権利をエサウに返す用意さえあったのだ。もちろん、創世記28 章で、イサクがヤコブを長子として祝福しているので、それが取り消されることはないのだが、注目すべきは、ヤコブの魂が砕かれていたことである。ヤコブの霊性が、20 年間で大いに成長したことが分かる。
帰還した使者たちは、エサウが400 人を引き連れてやって来るとの知らせをもたらした。なぜ400 人も連れて来る必要があるのか。エサウはヤコブの一行を打とうとしているのか。あるいは、防御態勢を取ってやって来たということなのか。ヤコブには、その理由は分からなかった。一つ確実なことは、ヤコブがそれを聞いて非常に恐れたということである。
そして、ヤコブのその恐れが、神との戦いを生み出す原動力になっていく。もし彼にそれほどの恐れがなかったとしたら、彼は、次に出てくる「ペニエルの体験」をすることなしに、エサウと再会していたことであろう。神は、私たちの霊性を高めるために、私たちに恐れの経験をさせることがある。そしてそれは、決して悪いことではない。「苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました」(詩119:71)。苦難や恐れの体験が、自分のクリスチャン生活にどのような影響を与えているか、黙想してみよう。苦難を友とする人は、幸いである。
きょうの祈り
天の父なる神さま。苦しみ、恐れ、緊張感が、私を祈りへと駆り立てます。どうか、あなたの霊的学校で訓練を受け、ヤコブのように成長することができますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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