1 ツェルヤの子ヨアブは、王がアブシャロムに敵意をいだいているのに気づいた。
2 ヨアブはテコアに人をやって、そこからひとりの知恵のある女を連れて来て、彼女に言った。「あなたは喪に服している者を装い、喪服を着て、身に油も塗らず、死んだ人のために長い間、喪に服している女のようになって、
3 王のもとに行き、王にこのように話してくれまいか。」こうしてヨアブは彼女の口にことばを授けた。
4 テコアの女は、王に話したとき、地にひれ伏し、礼をして言った。「お救いください。王さま。」
5 それで、王は彼女に言った。「いったい、どうしたのか。」彼女は答えた。「実は、この私は、やもめで、私の夫はなくなりました。
6 このはしためには、ふたりの息子がありましたが、ふたりが野原でけんかをして、だれもふたりを仲裁する者がいなかったので、ひとりが相手を打ち殺してしまいました。
7 そのうえ、親族全体がこのはしために詰め寄って、『兄弟を打った者を引き渡せ。あれが殺した兄弟のいのちのために、あれを殺し、この家の世継ぎをも根絶やしにしよう。』と申します。あの人たちは残された私の一つの火種を消して、私の夫の名だけではなく、残りの者までも、この地上に残さないようにするのです。」
将軍ヨアブはエッサイの娘ツェルヤの子で、ダビデの甥に当たる人物です。彼は兄弟のアブシャイ、アサエルとともにイスラエルの勇士と呼ばれました(2:18)。そのヨアブが、ダビデとアブシャロムの関係修復のために、一計を案じます。
(1)ダビデは、アブシャロムに対して特別な感情を抱いていました。新改訳聖書では、「ヨアブは、王がアブシャロムに敵意をいだいているのに気づいた」となっていますが、別の訳では、「ヨアブは王の心がアブサロムに向かっているのを知った」(口語訳)、「ツェルヤの子ヨアブは、王の心がアブサロムに向かっていることを悟り」(新共同訳)となっています。あとの二つの訳のほうがよいと思います。(2)ダビデはアブシャロムとの和解を願いつつも、法的な義に違反することを恐れていました。(3)ヨアブはダビデがジレンマに陥っていることを察知し、事態を打開するために一計を案じます。
(1)ヨアブはテコア(ベツレヘムの南方十数キロ)に住む「知恵のある女」を呼び寄せ、彼女の口にことばを授けます。(2)この女は喪中のやもめを装い、王のところに行って判断を仰ぎます。当時王は、裁判官の役目も果たしていたのです。(3)訴えの内容は、次のようなものでした。「残されたふたりの息子が争い、一方が他方を殺してしまった。親族はその殺害者を引き渡せ、死刑にせねばならないと迫ってくる。彼らは、自分に残されたたったひとりの息子のいのちまでも奪おうとしている。そうなれば自分の家系は滅びてしまう。王よ、義を立てて罪人を死刑にすべきでしょうか、あるいは、家系を残すことを優先させるべきでしょうか」。
彼女の問いかけは、義を取るべきか恵みを取るべきか、というものでした。あなたならどのように判断しますか。これは、ダビデ自身が直面していた課題でもあります。父なる神もまた同じ課題で苦しまれました。そして最後に、義と恵みの両方を実現する方法として、御子イエスを十字架に付けてくださったのです。私たちは御子イエスが十字架上で流された血潮によって罪赦されました。そのことを思い出し、父なる神に感謝をささげようではありませんか。
きょうの祈り
天の父よ。きょう再び、御子イエスの十字架の愛に感動を覚えました。どうか愛されている者にふさわしい歩みをさせてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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イザヤ書62~63、コリント人への手紙 第一8
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