18 私たちは暴風に激しく翻弄されていたので、翌日、人々は積荷を捨て始め、
19 三日目には、自分の手で船具までも投げ捨てた。
20 太陽も星も見えない日が幾日も続き、激しい暴風が吹きまくるので、私たちが助かる最後の望みも今や絶たれようとしていた。
21 だれも長いこと食事をとらなかったが、そのときパウロが彼らの中に立って、こう言った。「皆さん。あなたがたは私の忠告を聞き入れて、クレテを出帆しなかったら、こんな危害や損失をこうむらなくて済んだのです。
22 しかし、今、お勧めします。元気を出しなさい。あなたがたのうち、いのちを失う者はひとりもありません。失われるのは船だけです。
23 昨夜、私の主で、私の仕えている神の御使いが、私の前に立って、
24 こう言いました。『恐れてはいけません。パウロ。あなたは必ずカイザルの前に立ちます。そして、神はあなたと同船している人々をみな、あなたにお与えになったのです。』
25 ですから、皆さん。元気を出しなさい。すべて私に告げられたとおりになると、私は神によって信じています。
26 私たちは必ず、どこかの島に打ち上げられます。」
「私たちは暴風に激しく翻弄されていたので、翌日、人々は積荷を捨て始め、三日目には、自分の手で船具までも投げ捨てた」。(1)状況はさらに悪化した。①人々は積荷を捨て始めた。これは船を軽くするための方法である。②ヨナ1:5 でも、水夫たちは船の積荷を海に投げ捨てている。(2)3 日目には、自分の手で、「船具」までも投げ捨てた。「船具」とは、帆、ロープ、錨などのことであろう。ただし、最低限必要なものは残しておいたはずである。
「太陽も星も見えない日が幾日も続き、激しい暴風が吹きまくるので、私たちが助かる最後の望みも今や絶たれようとしていた」。(1)ルカは、「太陽も星も見えない日が幾日も続き、…」と記している。漂流は丸2 週間続くことになる。当時は羅針盤がまだ発明されていなかった。羅針盤(コンパス)とは、磁石が南北を示すことを利用して方位を測る道具である。羅針盤が発明される前の時代、水夫たちは、陸地の風景や天体の運行によって、船の位置を確認していた。太陽も星も見えないとは、完全に方向感覚をなくしたということである。(2)「私たちが助かる最後の望みも今や絶たれようとしていた」という状況が訪れた。276 人の乗員の中で、希望を抱いていたのはパウロだけであった。同行していたルカでさえも、絶望的になった。パウロには、ローマに行くという神の約束があった。
「だれも長いこと食事をとらなかったが、そのときパウロが彼らの中に立って、こう言った。『皆さん。あなたがたは私の忠告を聞き入れて、クレテを出帆しなかったら、こんな危害や損失をこうむらなくて済んだのです。しかし、今、お勧めします。元気を出しなさい。あなたがたのうち、いのちを失う者はひとりもありません。失われるのは船だけです』」。嵐の中で、だれも長いこと食事をとっていなかった。船酔いと失望による食欲減退があったからである。乗員たちは、これ以上嵐が続けば、一行が助かる見込みはないと考えていた。最悪の状況になった時、パウロは立ち上がって励ましの言葉を語った。
パウロには、神のことば(御心)という羅針盤があった。羅針盤を持った人の使命とは何か。それは、絶望した人々に希望を語ることである。パウロは2 度、「元気を出しなさい」と語っている(使27:22 と27:25)。私たちクリスチャンは、希望に向かって歩んでいる者たちである。私たちには、その希望を隣人に語る使命がある。
きょうの祈り
天の父なる神さま。みことばという羅針盤が与えられていることを感謝します。私も、希望を語ることができるよう導いてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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