25 そして、次のような文面の手紙を書いた。
26 「 クラウデオ・ルシヤ、つつしんで総督ペリクス閣下にごあいさつ申し上げます。
27 この者が、ユダヤ人に捕らえられ、まさに殺されようとしていたとき、彼がローマ市民であることを知りましたので、私は兵隊を率いて行って、彼を助け出しました。
28 それから、どんな理由で彼が訴えられたかを知ろうと思い、彼をユダヤ人の議会に出頭させました。
29 その結果、彼が訴えられているのは、ユダヤ人の律法に関する問題のためで、死刑や投獄に当たる罪はないことがわかりました。
30 しかし、この者に対する陰謀があるという情報を得ましたので、私はただちに彼を閣下のもとにお送りし、訴える者たちには、閣下の前で彼のことを訴えるようにと言い渡しておきました。」
千人隊長は、パウロをカイザリヤに移送するに際して、総督に手紙を書いた。(1)千人隊長の名前は、クラウデオ・ルシヤである。恐らく彼は、クラウデオ帝の治世に、ローマの市民権を金で買ったのであろう。(2)手紙の宛先は、総督ペリクスである。①「閣下」は、「クラティストス」で、正式なローマの称号である。ルカ1:3 で、ルカは同じ言葉を使っている(「尊敬するテオピロ殿」)。②ペリクスは、紀元52 年から59 年までユダヤの総督であった。兄パッラスは、クラウデオ帝の下で権勢を誇った解放奴隷で、ペリクス自身も、クラウデオ帝の母の解放奴隷だった。ペリクスがユダヤ総督になったのは、解放奴隷を地方官に任命するというクラウデオ帝の政策によるものである。③彼の武力による統治は、過激な反ローマ主義者(シカリ党)の徹底的な反抗に遭った。④先のことになるが、カイザリヤで異邦人とユダヤ人の争いが生じた時、彼は多数のユダヤ人を殺害した。そのため、ユダヤ人の代表たちは、彼を訴えるためにローマまで行った。この時は、兄パッラスの介入によって処罰を免れることができた。(3)ネロ帝の代になると、ペリクスに代えてフェストがユダヤの総督に任命された。歴史家タキトゥスの『年代記』には、「ペリクスの統治は、奴隷の心情で王権を行使したものであった」と書かれている。
「この者が、ユダヤ人に捕らえられ、まさに殺されようとしていたとき、彼がローマ市民であることを知りましたので、私は兵隊を率いて行って、彼を助け出しました。それから、どんな理由で彼が訴えられたかを知ろうと思い、彼をユダヤ人の議会に出頭させました。・・・」。(1)この部分は、虚実とりまぜた内容になっている。彼は、パウロがローマ市民であることを知ったので、兵隊を率いて行って彼を助けたと書いている。しかし実際は、パウロを逮捕した後で、彼がローマ市民であることを知った。さらに、パウロをムチで打とうとしたことは省いている。(2)千人隊長は、混乱の原因はユダヤ人の律法に関する問題で、パウロには死刑や投獄に当たる罪はないと判断した。(3)陰謀があるという情報を得たので、パウロを閣下のもとにお送りするので、よろしくお願いしたい。
神は、パウロをカイザリヤに移動させるための方法として、ローマ軍をお用いになった。神は、私たちの予想や期待をはるかに超えて働かれる。きょうも、摂理の御手に期待しよう。
きょうの祈り
全知全能なる神よ。あなたの御心は、人の予想や期待をはるかに超えるものです。きょうも、あなたを信頼しつつ歩みます。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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