37 兵営の中に連れ込まれようとしたとき、パウロが千人隊長に、「一言お話ししてもよいでしょうか」と尋ねると、千人隊長は、「あなたはギリシヤ語を知っているのか。
38 するとあなたは、以前暴動を起こして、四千人の刺客を荒野に引き連れて逃げた、あのエジプト人ではないのか」と言った。
39 パウロは答えた。「私はキリキヤのタルソ出身のユダヤ人で、れっきとした町の市民です。お願いです。この人々に話をさせてください。」
40 千人隊長がそれを許したので、パウロは階段の上に立ち、民衆に向かって手を振った。そして、すっかり静かになったとき、彼はヘブル語で次のように話した。
「兵営の中に連れ込まれようとしたとき、パウロが千人隊長に、『一言お話ししてもよいでしょうか』と尋ねると、千人隊長は、『あなたはギリシヤ語を知っているのか。するとあなたは、以前暴動を起こして、四千人の刺客を荒野に引き連れて逃げた、あのエジプト人ではないのか』と言った」。(1)アントニア要塞に連行されようとした時、パウロは千人隊長に話しかけた。パウロがギリシャ語で話しかけたので、千人隊長は非常に驚いた。(2)千人隊長は、自分の誤解に気づき、こう確かめた。「あなたは暴動を起こしたあのエジプト人ではないのか」と。ユダヤ人の歴史家ヨセフスは、このエジプト人についての記録を残している。その内容は、「自ら預言者を名乗るエジプト人が、民衆をだまして、オリーブ山に結集するように扇動した。しかし、その暴徒の一群はローマ総督フェリクスによって弾圧され、400 人が殺され、200 人が捕虜となった」というものであった。首謀者であるエジプト人は逃れた。千人隊長は、そのエジプト人が戻って来たと思ったのである。
「パウロは答えた。『私はキリキヤのタルソ出身のユダヤ人で、れっきとした町の市民です。お願いです。この人々に話をさせてください。』千人隊長がそれを許したので、・・・」。(1)パウロは千人隊長に向かって自己紹介をした。自分は、キリキヤのタルソ出身のユダヤ人で、その町の市民である。自分はローマ市民なので、反ローマ運動とは何の関係もない。(2)次に、群衆に弁明する機会を千人隊長に求め、許可を得た。パウロはこれを伝道の機会と捉えたのである。彼は、神殿からアントニアの要塞に上る階段の上に立ち、民衆に向かって手を振った。それを見て民衆は静まり、物音一つしないほどの静寂がやって来た。パウロは、今度はヘブル語で話し始めた。
動揺してもおかしくない状況で冷静さを保つのは、容易なことではない。しかしパウロは、暴動の渦中に置かれても平安を失わなかった。パウロが示した危機管理のための2 つの武器に着目しよう。①彼は、礼儀正しい態度で千人隊長に接した。「一言お話ししてもよいでしょうか」は、丁寧な言葉である。礼儀正しい態度が、弁明の機会を得るきっかけとなった。②彼は、終始冷静さを保った。彼の冷静な態度は、大声で叫んでいる群衆の狂気とは好対照をなしている。パウロの危機管理法から、私たちも教訓を学ぼう。
きょうの祈り
天の父なる神さま。困難に直面した時にこそ、冷静を保つことが重要だと学びました。きょうも、心に平安を与えてください。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。
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